子供に先立たれた親は、時に長生きしたことを悔やむようなことを口にしたりします。そのとき周囲の人間は、どのように声をかければいいのか。終活ジャーナリストの金子稚子さんは、「想いを言葉という形にしてあげてほしい」とのアドバイスをくださいました。
メロロンさんからの質問
Q. 子に先立たれた祖母に、どんな言葉をかけたらいいのか教えてください。
先日、母の弟が亡くなりました。病気の気配もなかったのに突然倒れ、まだ60代の若さで亡くなってしまったことはとても残念ではありますが、残された叔母も今は心の整理がついたようですし、従姉妹もしっかりしているのでその点は安心しています。ただ、子に先立たれてしまった祖母のことが心配です。
祖母は90歳で、ここ数年はさすがに体調を崩しがちになり、叔父が亡くなった時も入院中でした。新型コロナで病院が面会禁止となっていたため、母は叔父が亡くなったことをすぐに祖母に伝えることができず、お別れも告別式の直前に顔を見る程度しかできませんでした。母は5人兄弟なのですが、今回の叔父を入れてすでに3人が亡くなっており、我が子を3人も見送ることになってしまった祖母の気持ちを思うと、どんな言葉をかけていいか分かりません。以前、叔母が亡くなった時に「私ばっかり長生きしても仕方ない」というようなことを言っていたのも気がかりです。
祖母にはまだまだ長生きしてほしいと思っています。生きる気力を保ってもらうために、家族として、私はどんなことがしてあげられるでしょうか。(38歳)
A. 励ますのではなく、ただお祖母さまの想いを深く聞いてください。
ご相談を読ませていただきまして、メロロンさんはとてもお優しい方なのだと感じました。お祖母さまには長生きしてほしい……、その気持ちは痛いほどよく分かります。ですがあえて厳しいことをお伝えさせていただくとすれば、その人の人生は誰にも代われないものです。子供を失った親の気持ちとは絶対に誰にも分かるものではありませんし、夫を亡くした妻の気持ちも分かるものではないと思うのです。たとえ同じような経験をしていたとしても……。どう思っているかは、本当に百人百様ですから。
亡くなった方とその方との関係は、一対一です。厳しいですが、誰にもその関係を代わることはできないのです。お祖母さまが「私ばっかり長生きして」と思い、「もうこれ以上長生きしたくない」と思ったとしても、それがお祖母さまの向き合い方。そのままを受け止めてあげることが、お祖母さまの尊厳を守ることだと思うのです。お祖母さまの考えを無理に変えることは、きっとできないでしょう。
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