以前に小学生の子供を闘病の末に亡くされたお母さまとお話する機会があったのですが、彼女はその後、夫とは子供のことに関して話したことがなかったそうです。しかし10年もの月日が経ってからたまたま機会を得て、夫の思いを聞いたとき、「そんなことを思っていたのか!」と大変驚いたそうです。同じ親でも、それくらい想いは違うということ。だからこそ、それぞれの想いをそのまま大事にすることが何より大切だと私は思います。

3人の子に先立たれた祖母、コロナで会えないときにすべき対応_img1
 


もしコロナウイルスが落ち着いてお祖母さまが出かけられる時がきたら、叔父さまのお墓参りをご一緒にされてはいかがでしょう。そのときにお祖母さまが「私ばかり長生きして」とおっしゃったなら、勇気を持って「どうしてそう思うの?」と尋ねてみてはいかがでしょう。そして、そのときお祖母さまから出てくる言葉をどうか丁寧に聞いて差し上げてください。それこそが、お祖母さまを愛する周囲の人間ができることではないでしょうか。

 

言葉とは、想いが形になったものです。そして、想いを形として外に出すのは大事なことです。苦しいときには特に……。叔父さまはどんな息子だったのか、叔父さまが結婚したときはどんな様子だったか、お祖母さまはどんな思いで叔父さまを育てたのか……。ただ聞いてあげるというよりも、もう少し“聞く”ということを深く捉えて、お祖母さまが自分の想いを形にできるように、と意識して聞いてあげてほしいのです。

私の知る人の中に、娘さんと同居していた100歳の女性がいらしたのですが、彼女は病を得たとき、「絶対に家で死にたい」と言っていました。なぜかといいますと、「娘が心配だから」と言うのです。子に対する親の想いというのは、それくらい計り知れないものです。他の誰のものでもない、その人だけの想いがある。是非メロロンさんには、それを聞いて差し上げてほしいと思います。

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 取材・文/山本奈緒子

 

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