全国の書店員さんが選ぶ、今一番売りたい本を決める「本屋大賞」。直木賞受賞作あり、“このミス”受賞作ありの激戦の「2020年本屋大賞」をライター渥美志保さんと編集部きっての本好き・バタやんがインスタライブで全作レビュー! 前回の1位〜3位に続き、今日は4位の横山秀夫さんの『ノースライト』以降の受賞作品のあらすじと見どころを解説いたします!


【2020年本屋大賞】トップ3『流浪の月』『ライオンのおやつ』『線は、僕を描く』の見どころはこちら>>

<2020年本屋大賞 受賞作品>
大賞:『流浪の月』 凪良ゆう
2位:『ライオンのおやつ』 小川糸
3位:『線は、僕を描く』 砥上裕將
4位:『ノースライト』 横山秀夫
5位:『熱源』 川越宗一
6位:『medium 霊媒探偵城塚翡翠』 相沢沙呼
7位:『夏物語』 川上未映子
8位:『ムゲンのi』 知念実希人
9位:『店長がバカすぎて』 早見和真
10位:『むかしむかしあるところに、死体がありました。』 青柳碧人

<翻訳部門>
1位:『ア-モンド』ソンウォンピョン著、 矢島暁子訳
2位:『掃除婦のための手引き書』 ルシア・ベルリン著、岸本佐知子訳
3位:『三体』 劉慈欣著、大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳

<発掘部門>
『無理難題が多すぎる』 土屋賢二

 


横山秀夫さんには3度目の正直でぜひ大賞をとってもらいたかった

 
『ノースライト』
<あらすじ>
建築家デザイナーの青瀬(あおせ)は、「自分が住みたい家を作ってください」とある一家に依頼されて、Y邸を建築する。Y邸は周囲に絶賛され、青瀬の名は建築業界に知られることとなるが、依頼主は住むことなくY邸を放棄し一家蒸発。残された一脚のタウトの椅子を手がかりにその真相に迫る、建築ミステリー。
 

編集・川端里恵(以下、バタやん):横山秀夫さんの『ノースライト』、残念ながら4位となったわけですが、私はこれ、大賞とってほしいとすごく推してたんです。横山さんといえば、警察とか新聞社を舞台にした男社会の義理と人情と不条理に男泣き……みたいなタイプが多いから、こんな耽美的な、美しい調べ、みたいなのも書くんだなあと意外でした。横山秀夫という作者を知らずに読んだら、原田マハさんかなって思うくらい。

渥美志保さん(以下、渥美):えー。私は、横山秀夫だなってすぐ思ったよ(笑)。主人公の青瀬は、仕事、仕事で家庭を省みない男なんだよね。

バタやん:あ、そうですね。かつては一世を風靡したイケてるデザイン事務所だったんだけど、今はあまり受注もなく。元妻と娘との関係も辛い感じなんですよね。なんで、横山さんに受賞して欲しかったかというと、横山さんは、2004年の本屋大賞第1回に『クライマーズハイ』でノミネートされていて、残念ながら2位だったんですよ。その時の1位が、小川洋子さんの『博士の愛した数式』で、3位が伊坂幸太郎さん『アヒルと鴨のコインロッカー』。

渥美:なるほど。激戦だね。名勝負。

バタやん:その数年後に、『64』でもノミネートしてるんですが、これも2位だったの。その時の1位が百田尚樹さんの『海賊と呼ばれた男』で、3位が原田マハさんの『楽園のカンヴァス』ですよ。あとは、宮部みゆきさんの『ソロモンの偽証』とか。これまた超激戦の年だったんですよね。

渥美:毎年“最有力”って言われながらアカデミー賞がとれないレオナルド・ディカプリオみたいだね。

バタやん:え?そうなんですか。ディカプリオだったのか。秀夫ぉ〜〜。今年こそ取らせてあげて〜〜!って思ってたの。(おまえ誰なんだって感じなんですけど……)。