2020年のはじまりの日、あなたはこの年をどのように過ごそうと考えていましたか? 
まさか世界がこんな状況になるなんて、少しも想像していなかったはず。

 


「環境が大きく変化しつづけている今だからこそ、自分の軸が大切です」


そう話すのは、南青山にあるコンセプトスタジオ「veda(ヴェーダ)」の代表・吉川めいさん。vedaではヨガを中心に、瞑想・マインドフルネス・食育などあらゆる角度からポジティブなライフスタイルを発信しています。

 

3月上旬。
まだ都内では営業自粛に踏み切る店舗が少ない中、vedaはいち早くスタジオを閉め、オンラインレッスンに切り替えました。手探りでの移行でしたが、新規の受講者さんが多い中で「今このクラスに出会えてよかった」という声がたくさん届いたそうです。

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めいさんはレッスンの中で何を伝えているのか?
そして、今こそ大切だという“自分の軸”ってどういうことなのか?

その鍵のひとつが、マインドフルネス。
言葉だけは聞いたことがあるという人も多いと思います。マインドフルネスとは一体どんなものか、詳しくお聞きしました。

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自分を自覚することがマインドフルネス

 
 

「ミモレ世代の女性って、妻・母・お嫁さん・上司など、たくさんの顔を持って、それぞれの役割をこなしている方が多いと思います。エンパス(empath)って言葉を聞いたことがありますか? “共感する心”という意味で、もっと広く言うと、自分の波長をまわりに合わせてしまうことを指します。“繊細さん”とか“気にしいさん”なタイプの人にも当てはまるのですが、このエンパスが強いと、自分のバランスを崩したり、消耗してしまうことがあるんです。

旦那さん、子ども、仕事の案件にも全力投球したときに、自分のことが二の次になっていたなと感じてしまう。ふと“私には何が残るんだろう……”なんて考えてしまったりして」

めいさんも2人のお子さんを育てるワーキングマザー

エンパス=共感する心。人に共感する力があるのはいいことのように思うのですが、その度合いが強すぎると問題があるそう。人を思いやったり、気持ちに寄り添えるのは健全なエンパスですが、不幸なことがあって泣いている友人に共感して3日間自分もブルーになってしまう……なんていうのは行き過ぎたエンパスだとか。

「特に子どものことなんて、一喜一憂せずにはいられないですからね。でも、自分がどのくらいエンパスが強いのかという度合いについての意識を高めておくことが大切です。特に今は、世の中が大きく変化してみんなが模索している時代。環境に適応しなきゃと思って疲弊してしまうことも多いはず。

ひとつ先にお伝えしたいのが、エンパスが強かったとしても、自分を変える必要はありません。大切なのは、そんな自分に自覚的になること。そして自分にとってのバランスをとる方法を知ることです」
 

今の環境を「自分が選択したもの」と捉えるとパワーが湧く


まずは自覚する。めいさんは、そのために有効なのがマインドフルネスだといいます。マインドフルネスのクラスでは一体どんなことを行っているのでしょうか。

「マインドフルネスのクラスはこうやってお話をしている時間がほとんどです。まずは自分を自覚すること。自覚するとチョイスが生まれる、チョイスがあると自分で選択できる。反対に自覚がない人はチョイスがない、チョイスがないから自由がない、と感じます。

 

具体例で話しましょう。
私の上の子がまだ2〜3歳だった頃。いつもおもちゃが出しっ放しだったんですね。私はといえば、物を持たないタイプで断捨離が大好き。だから毎日散らかった部屋を見ては『あ〜また今日も……』とイライラしていました。

でも、ある日ふと思ったんです。時間って5分が長く感じるときもあれば、1時間があっという間に過ぎるときもある。自分が感じる時間の感覚ってすごく流動的なんだと思ったときに、今のイライラしている時間は、自分ですごく長い時間として感じているだけなんじゃないか、って。じゃあ、おもちゃを毎日散らかす息子と共存する日々から仮に時間軸を抜いて考えたらどう見える?と問いかけてみました。

3年前、この息子はいなかった。子どもが欲しくて妊活していた自分がいた。
10年後、ほとんど自分の部屋にこもっていてゲームをしている息子がいる。
15年後、大学に入学して息子は家を出てしまう。

そうやって考えたときに、今散らかったおもちゃを拾えるこの時間が愛おしくてたまらなくなるんです。自分で選択してママになって、今がある。自分のまわりの全部が自分の選んだもので満たされるようになると、パワーがあふれてくる。パワーの源は自分で選択することにあるんです。マインドフルネスではよくそんな話をします。ちょっとした刺激になることや、ため息をつかなくなるような考え方など、日常生活のヒントになればと思っています」

 
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