様々な立場や役割を抱え、それぞれに“ふさわしい”振る舞いを求められるミモレ世代の皆さん。家族のこと、パートナーとの関係のこと、介護のこと、自分の体のこと、追っかけていること……頭の中を占めている大きなことほど、近しい人には話しづらいもの。〔ミモレ編集室〕のブログは会員限定公開のクローズドな世界。そこで少しずつご自身のことを綴ってみたら……。メンバーからの反応やご本人に起こった変化とは?
隣のミモレさん
悠さん
電車に乗っていると、時々衝動に駆られるときがあります。
「どこに行くの?」「普段は何をしているの?」
隣に座っていても、お向かいに立っていても、視線を合わすことはなく、会話するなんてもってのほか。ちょっと話しかけてみたい。でもそんなことはしません。
こうして私は、多くの人のことを知らずに、今日も過ぎていきます。
大人になると、友達が増えることはそうそうありません。ましてや、普段自分の生活カテゴリーにいない人と知り合うことは、無に等しい状態です。
けれどこの春、私はたくさんの人と出会いました。
年齢も職業も、住んでいる地域も違う人たち。ミモレという一つのメディアを通して知り合った私たちは、画面上で沢山の”おしゃべり”をしました。それが〔ミモレ編集室〕です。
私はここで出会った人たちのことを、ひそかに、「ミモレさん」と呼んでいます。
友達ともちょっと違う。同僚という訳ではない。新しいつながりだからしっくりくる呼称が無くて。だから、隣のミモレさん。
ふと、生活の中で、ミモレさんのことを思い出すことがあります。
この間のミモレさんのコーディネイトをまねしてみよう…
この本面白かったな、あのミモレさんも好きそうだな…
ブログやコメントを通して知るミモレさんたちの日々が、そっと私の日常を楽しくさせてくれます。
時には熱い議論が始まったり、そうかと思えば、美味しいごはん紹介が連投されたり。わいわい、がやがや、参加のペースもそれぞれ。そんなゆるやかな空気の中、私も少しずつブログを書き始めました。
あるときは、ブックレビュー。感動した辻村深月さんの小説『東京會舘とわたし』についてブログを書きました。しばらくすると、ミモレさんから「読みました!」と嬉しいコメントが。印象に残ったシーンを共有したり、「東京會舘、行ってみたいですね」なんて盛り上がったりして。一人で読んだ本への想いが一段と深まりました。
少しずつこの環境に慣れてきた頃、ライティング講座がありました。講談社で実際に雑誌を作り続けている編集部の方たちのお話は、目から鱗、新しい発見、新鮮な感動の嵐!
話を聞きながらむくむくとこみ上げてくるのは、一つの想いでした。
私は、自分も経験した”介護”について、何らかの形で、役立つような情報発信ができないか、ずっと考えていました。でも一歩がなかなか踏み出せず、またどう発信するのが良いのか迷うところもあり、結局何も出来ずにいました。
書きたい。
自分が介護をしていた頃、読みたかったことがたくさんある。
どうするのが良いのか?そんな正解例は分からないままでしたが、私は〔ミモレ編集室〕内で、おそるおそる、書き始めました。
すると、たくさんのミモレさん達からコメントをいただきました。読みながら、驚くほど、私は涙が止まりませんでした。
人にはそれぞれに、その人が大事にしている人生があります。
ミモレさん達のブログを読みながら、私は、私の知らなかった人生を知り、その人を感じ、これから続いていく新しい人生に想いを馳せました。
”続きを待っています”と、軽やかに背中を押してもらい、それから私は少しずつ書き続けています。
もちろん、介護のことだけではなく、大好きなアートの話や、本のことも。
そこにはいつも、たのしくにぎやかなミモレさん達がいます。
webマガジン ミモレのコンセプトは「明日の私へ、小さな一歩!」
この3ヵ月、まさに私に小さな一歩を踏み出させてくれたのは、隣のミモレさん達でした。どうもありがとうございます。
悠さん
モットーは、どんなときでも色とりどりな毎日を。日々、本の近くでお仕事中。きっと一生涯ライブラリアン。topis:本・介護・建物めぐり