マッキンゼー、ネスレ、ほぼ日など数々の一流企業でキャリアを積んできた篠田真貴子さん。2018年11月にほぼ日を退社し、1年3カ月の「ジョブレス」期間を経て、現在はYell(エール)の取締役を務めています。篠田さんは2児の母でもあります。キャリアと家庭で多忙を極めながらも、能動的で活き活きとした人生を送っている篠田さんに、コロナで生じた変化や、コロナ後の未来像について伺いました。

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エール株式会社の仲間と。

篠田真貴子
1968年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルバニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年ほぼ日(旧・東京糸井重里事務所)に入社。取締役CFOに。2018年に退任し、「ジョブレス」を経て、2020年3月からベンチャー企業、YeLL(エール)株式会社の取締役に就任。監訳書に『ALLIANCE アライアンス —— 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』。Twitter:@hoshina_shinoda

 

 

コロナが男女の分業を見直す契機に


——第一回第二回と上機嫌に生きるコツや、キャリアの築き方についてうかがいました。現在、新型コロナウイルス感染症によって、私達は大きな生活様式の変化を経験していますが、篠田さんはこれをどうご覧になっていますか?

「コロナの影響により、男女ともに家で過ごす時間が増えましたよね。これは1つポジティブな可能性があることだと思っています。世界を代表する経営コンサルタントであり教育者でもある大前研一さんは、『人間が変わる方法は3つしかない』とおっしゃっています。

3つの方法とは、『時間配分を変える、住む場所を変える、付き合う人を変える』だそうです。コロナによって、時間の使い方や、過ごす場所は職場中心から家中心に変わりました。

エッセンシャルワーカーの方は別ですが、夫婦いずれも、そしてお子さんがいたらお子さんも家にいる状況でしたよね。限られたスペースに皆が居続けるのは、大変なことだったかと思いますが、同時に男女の分業意識を見直すいい機会になったのではないでしょうか。内閣府の調査によると、この状況のもとで「家族と過ごす時間が増えた」と答えた人は、全体の70%余りもいて、このうち、81.9%の人が「家族と過ごす時間を今後も保ちたい」と回答したそうです。

具体的には、夫婦どちらも家にいるのに、女性だけが引き続き家事をするのはおかしくない? との課題を共有できる。子どもも含めて、『10分でもいいからみんなで分担しよう』といったことが言いやすい状況にはなったと思います。

これはライターの宮本恵理子さんが書かれていたことなんですが、彼女は息子さんが休校期間中に、くじびき形式でその日の担当家事を決めるゲームをされたそうです。くじに家事を書くところから一緒にやることで、なんの家事があるのかを家族が気づくようになる。

ゴミ出しもあったか、洗濯物をしまう作業もあったか、といったように。加えて、なんとなく抱いていた『子どもにはこれは無理だな』という彼女自身の思い込みも外れたそうです。さらには空札なんかも入れたりして、家族全員がゲーム感覚で家事を楽しんだと聞き、すごくいいアイディアだなと思いましたね」
 

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