テレビやラジオ、イベントなど幅広く活躍する、話すこと・聞くことのプロであるフリーアナウンサー安田佑子さんが「上手なあいづちの打ち方」について解説します。
少し前になりますが、ネットでお笑いタレント・カズレーザーさんの使っている「情報番組でコメントに困った時の“さしすせそ”」についての記事を読みました。
「最高ですね」「渋いっすね」「すごいですね」「世知辛いですね」「そっち?」
本当ですね!短い5つの言葉だけなのに、幅広い話題のリアクションをカバーできます(笑)。何よりもご本人の個性がよく出ているのが最高です(早速使ってみました)。自分の気持ちを含んだ短い言葉は、会話の最後だけでなく、あいづちとして会話の途中で使えますね。
今回のコラムは「あいづち」がテーマです。ベテラン層に積極的に使ってほしいあいづちです。「はい、そうですね、そうですか」などの定番のあいづちだけでなく、相手の話を促す言葉や相手を思いやった反応、というものも広い意味であいづちと考えて紹介します。
あいづちがうまく打てると、とたんに相手の話のリズムが良くなり、会話がスムーズに流れて盛り上がります。また、自分が何気なく使っていたあいづちが上から目線に聞こえるリスクを知ることで、相手の話に反応する時、意識して「いいあいづち」を選べるようになりますよ。
大人こそ使いたいあいづち「ほねみ」とは?
経験やキャリアが増え、相手のあいづちが気になることはあっても、「自分はどう反応しているのか」までは意識しなくなっていませんか?
今、あなたの手持ちのあいづちに加えてほしいのが「ほ・ね・み」の言葉。ほ(める)、ね(ぎらう)、み(とめる)です。
【ほ(褒)める】
(部下・同僚へ)さすがだね。すごいね。やったね!そんなことまでできちゃうんだ。完璧!最高!
(敬う相手へ)さすが〜さんですね。素晴らしいです!参加したお客様も「〜さんのお話がとてもわかりやすかった」と感激していました。
【ねぎ(労)らう】
(部下・同僚へ)大変だったね。よく頑張ってくれた。全力で取り組んでくれてありがとう。
(敬う相手へ*)本当におつかれさまでございました。ご尽力、本当にありがとうございました。大役を終えられて、お疲れではありませんか?
【みと(認)める】
(部下・同僚へ)担当が〜さんでよかったよ。〜さんのおかげで助かったよ。頼りになるね!私も頑張らなきゃ、と思ったよ!
(敬う相手へ*)〜さんのお力添えなしにはできませんでした。ご一緒できて光栄です。私も早く〜さんのようになれるよう精進します。
*敬う相手に「労う」「認める」という表現自体は失礼になりますが、尊敬や感謝、相手の苦労に対する真摯な気持ちを言葉で伝えたいものです。
同僚、後輩に対しても、敬う相手にも、「ほねみ」の考え方は万能です。自己承認欲求は誰もが持っているので言われて嫌な人はいません。特に、「労う」は、感謝する、慰めるなどのニュアンスが込められた相手に寄り添う行為です。相手が疲れている時やいい状態にない時はもちろん、弱音を吐かない相手の日々の重労働に対してや、一緒に大仕事を終えた時などに「大変だったね。おつかれさま」「今日はゆっくり休まれてくださいね」と労いのリアクションをさりげなく会話の中に入れていきましょう。
とはいえ、「ほねみ」の習慣がないと、最初は言葉が出にくいかもしれません。そういう場合、メールでも退勤時も「おつかれさま」ならかろうじて毎日言っている、という人は多いと思いますので、「〜さん、おつかれさま」「今日もありがとうございました。おつかれさまです」と言葉を付け足していくことから始めましょう。名前を言うだけでも言葉に特別感が加わり、「あなたにだから言っているんです」という気持ちが相手に伝わります。いい言葉も悪い言葉も上司の口癖は連鎖するものです。あなたが企業やチームのリーダーなら、あなたが「ほねみ」あいづちを率先して取り入れることでそれが社風にもなっていきます。
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