コロナ禍にあえて独立した40代女性。その決断を後押ししたものは_img0
 

私たちは人生100年時代の「自分らしい人生」を、どうデザインしていけばいいのでしょう?
多様な生き方・働き方を実現する女性専門の人材エージェントWaris(ワリス)共同代表の田中美和さんが、転職や再就職、独立などの「ライフシフト」を経験した女性たちのリアルストーリーを通じて、人生100年時代を生き抜くキャリアのヒントをお届けしていきます。
※文中の氏名は仮名です。

 


「このタイミングだからこそ、自分のやってみたいワークスタイルに挑戦したかった」と話すリサさん。コロナ禍の中、今年の春に会社員を辞め、フリーランスとして独立しました。

「新型コロナウイルスの感染が広がる中、絶対的な安定ってどこにもないんだなって思ったんです。会社員だったとしても解雇されることもありえます。この先、どうなるかもよくわからない。でも、後悔はしたくない。不安はありましたが、だからこそ自分のやりたいことをやろうと決めました」

リサさんが思い切った決断をした背景にはある経験があったといいます。

「実は会社員を辞める2年前から、本業のかたわら副業をしていました。その経験があったので、比較的スムーズに独立できたのかもしれません」

もともとはベンチャー企業で人事マネージャーとして働いていたリサさん。副業のきっかけは「自分らしい働き方をするため」でした。

「本業の会社はベンチャー企業だったこともあり、職場では狭いデスクのすぐとなりに人がいて、よく話しかけられるのでなかなか仕事が進みませんでした。集中したい仕事があるときは頼んで小さい会議室を使わせてもらっていたくらいです。また、人事マネージャーだったので、こちらの都合に関係なく、社内からあらゆる相談が持ち込まれるんですね。時短正社員の方の悩み相談、セクハラ・パワハラの相談、若手からの今後のキャリア相談……。これも自分の仕事だとわかってはいたものの、もっと仕事を自分のペースで、落ち着いた環境で集中してやってみたい思いがありました」

副業を始めたのは「社内で納得のいく評価が得られなかったこと」も大きな理由でした。

「役員陣が人事的な仕事に関心がない方ばかりで。大切な話をしても『人事って意味あるの?』『評価制度ってめんどくさいよね』というトーンなんです。入社段階である程度わかってはいましたし、そこをなんとかしたいというやりがいをもって業務に取り組んでいましたが、やはり自分の仕事をあからさまに否定されるのはショックでした。何よりも、日頃からがんばって成果をあげている社員も同様に評価されていなかったので、現場の社員からの要望や期待に応えられず、人事マネージャーとしても申し訳ない気持ちでいっぱいでした」

こうして副業の仕事を始めたリサさん。Warisに登録し仕事を探し、縁があったのがある企業の採用の仕事でした。「発注元の企業の方には『成果にさえコミットしていただければ働き方は自由です』と言われて新鮮でした」

 
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