連休中なのでのんびりした話をひとつ。それは私が「読み聞かせたい絵本」についてです。
かれこれ10年以上子どもに本を読み聞かせてきたので、自分で言うのもどうかと思いますが、かなり熟練してきました(笑)。
我が家の場合、読み聞かせをするのは寝る前と決まっており、仕事から帰ってきて大急ぎで家のことをやり、ベッドに寝転がって絵本を読む頃には、だいたい私自身が「もうクタクタで限界、5分でいいから寝たい」モードになっています。
なので読み聞かせるときは必要以上に声を張り、役ごとに声色を変え、読みながら寝落ちして顔の上に絵本が落ちてくるという事故(何度かあります)が起きないように頑張っています。
「読み聞かせをしていて楽しい絵本か」どうかもとても重要。『おしりたんてい』や『かいけつゾロリ』も面白いとは思うのですが、できれば自分で読んでほしい…。
わたしが読み聞かせたいと思う絵本のひとつに「落語絵本」があります。クレヨンハウスから出ているのですが、ご存知でしょうか。
こちらは『じゅげむ』。生まれた子に良い名をつけようとする父親がいろんなことを知っているお寺の和尚さんに相談に行くという話です。「じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ、かいじゃりすいぎょ…」というあれです。
「そうですなあ…
おお、寿限無というのがある」
「じゅげむ…? なんですか、
毛虫ですか?」
「そうではない。寿、限り、無し、で寿限無じゃ」
ー『落語絵本 四 じゅげむ』より
読み聞かせしてて断然楽しいのは、市井のおじいさんやおばあさんで、王様やプリンセスではありません。それに加え、落語特有のリズミカルなテンポが読んでいて本当に楽しいんです! 落語絵本には有名な『ときそば』や『まんじゅうこわい』もあるんですよ。
おばあさんと言えば、『花さき山』も。おばあさんと言うより「山んば」ですけどね(笑)。
あや。おまえは たった十の おなゴわらし
だども、しっかりもんだから、おらなんど おっかなくはねえべ。
ああ、おらは、なんでも しってる。
おまえの なまえも、
おまえが なして こんな おくまで
のぼって きたかも。
ー『花さき山』より
ふもとに住む人間が優しいことをひとつするとひとつ美しい花が咲くという不思議な山に、女の子がひとり迷い込むところから物語ははじまります。
市原悦子ばりの気合の入った「山んば」(私)の一人語りに、子どもは口をあんぐりあけ、私の腕にしがみついて真剣に聞き入ってくれます。あー楽しい(笑)。私の中で『花さき山』はもうかなり長い間「読んでて楽しい絵本ナンバーワン」です。滝平二郎さんの版画に描かれる花々の美しいこと…!同じシリーズに『モチモチの木』もあります。
最近よく読んでいるのはこちら。さかいもゆるさんのコラム「ナウシカは男の理想の女性像!? コロナ禍の今、『風の谷のナウシカ』を劇場で鑑賞」を読んですぐに家族で劇場に行き、徳間アニメ絵本(映画のカットを使った絵本です)を購入しました(笑)。
「その もの、青き 衣を
まといて 金色の 野に
おりたつべし。うしなわれし
大地との きずなを むすび、
ついに ひとびとを、青き
せいじょうの 地に
みちびかん」
ー『風の谷のナウシカ 上』より
「風の谷」の姫ナウシカに、大ばばさまが城の壁にかけてある旗に描かれた絵にまつわる言い伝えを語る場面です。何度でも声に出して読みたい大ばばさまのセリフ…。ほら、皆さんもだんだん声に出して読みあげたくなってきませんか(笑)?
「風の谷」の城おじ、ゴルが「トルメキア」の姫クシャナに語りかける場面では、ちょっと疲れた優しいおじいさん風の声で読みます。
「あんたも ひめさまじゃろうが、
わしらの ひめさまとは、だいぶちがうのう……。」
(略)
「あんたは 火をつかう。火は、
1日で 森を はいに する。
水と 風は、百年かけて 森を
そだてるんじゃ。わしらは、水と
風の 方が ええ……。」
ー『風の谷のナウシカ 下』より
子どもにはちょっと難しいことや、これだけは伝えたいと思うことは、絵本の力を借りて伝えることが多い気がします。言葉でうまく説明できないことも、声色に乗せて伝わるように。
ただ気迫の読み聞かせのあとは子どもも疲れるのか「ママ〜、エルマー読んで〜」と新たにライトなものを求められて寝られなくなっちゃうこともあるんですけどね(笑)!
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