「このドロドロの愛憎劇を、ドラマでどのように表現するのかとても興味深かったです」と、ドラマ『私たちはどうかしている』の同名コミックの感想を語る山崎育三郎さん。山崎さんが演じるのは、主人公の和菓子職人・花岡七桜の前に突然現れ、献身的に彼女をサポートする謎の男、多喜川薫。洒落た着物を着こなし、日舞や茶道も嗜むという、魅力的な伊達男です。
美しい和の世界&愛憎劇にハラハラドキドキしてください!
「多喜川は品のある紳士的な男性ですが、どこか繊細で、飄々としているところもあります。加えてミステリアスな部分もあって、演じがいのある役だと感じています。多喜川の中に生まれていく、“七桜を守る!”という強い愛情とも、誠実に向き合っていきたいです」
ドラマでは、山崎さんの粋な着物姿や華麗な日舞シーンも見どころの一つに。
「母が日本舞踊をしていたので、踊りは何度も見ていましたが、自分が舞うのは初めて。先生に稽古をしていただいて撮影に挑んでいます。これまでミュージカルで踊っていたダンスとは違い、日舞は和楽器の響きと会話するかのように、川の流れのように踊っていくーー。踊り手の状態がダイレクトに踊りに影響するため、心と体を整えておくこともとても大事なのだと学びました。
そのほかでも茶道や着物での所作など、さまざまな日本の伝統や文化に触れる機会が多く、改めてその奥深さ、素晴らしさに魅了されています。これを機に、日本人としてもっと勉強していきたいですね」
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時代や環境の変化に対応できる、
日本オリジナルミュージカルを作りたい
新型コロナウィルスの影響で、演劇界は今、大きな変化と試行錯誤が求められています。幼い頃からエンタテインメントの世界に憧れ、現在はミュージカルの舞台で大活躍している山崎さんに、コロナ禍に揺れる演劇界、ミュージカルへの思いについても伺いました。
「コロナの登場で世の中がガラリと変わり、あらゆるところで新たな時代が始まったという感覚があります。僕の場合は、お客様が目の前にいる生の舞台に立ってきたので、その芝居形態が取りにくくなってしまった。特にミュージカルは、客席だけでなく、出演者が多いため舞台上も密になってしまう。歌で感情を表現するので、舞台上のソーシャルディスタンスも取りにくい。これからのミュージカル上演がどうなっていくのか、本当に分からない状態になっていると思います」
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そんな中でもできることをと考え、まず7月にチャレンジしたのがオンラインでの生配信のコンサートです。「観てくれているお客様と一体感が得られるように」と、さまざまなアイデアを盛り込み開催されました。
「耳で楽しんでもらうことプラス、目でも楽しんでもらえるようにと工夫しました。何度も衣装替えをしたり、背景映像を合成して変化をつけたり、歌う場所を移動して動きを出したり。また、お客様からいただいたリアルタイムのコメントに応えることで、コミュニケーションも取れ、とても充実した時間になりました。
でもやはり目の前にお客様がいないと、自分が伝えたいことが100%伝わらないのではないかとも感じました。同じ瞬間を共有することで生まれるものは必ずあります。その大切さを今回改めて痛感しました。これから生配信でコンサートをお届けする機会も増えると思うので、映像で楽しんでもらう方法はもっと研究していきたいです」
そしてもうひとつ、今後のミュージカル界のために山崎さんが計画していることがあります。それはコロナ時代にも上演できる、ミュージカル作品の制作です。
「僕は以前から、日本のオリジナルミュージカルを作るべきだと考えています。海外の名作ミュージカルはたくさんあり、多くの作品が日本で上演されていて僕も大好きです。でも海外の名作は、オリジナルが持つ表現を変えることができません。しかも日本で上演しているほとんどが海外作品なので、現地スタッフや演出家が来日して舞台を作ることも多い。となると、今回のようなことが起こると、日本でミュージカルの上演ができないということになってしまいます。
曲も脚本もすべて日本のクリエイターで作ったミュージカル作品があれば、その時々に合わせて演出などを変えることができます。時代に合わせてアレンジすることも、コロナ対策をしながら上演することだって可能です。そういう作品を今、ゼロから作っていきたいと考えています。
でも、それは自分一人ではできません。“新しい日本オリジナルミュージカルを作りたい”という強い思いがある仲間が必要で、それが城田優と尾上松也と僕とのプロジェクト「IMY」です。城田優はすでにミュージカルの演出をしていますし、尾上松也は自分の新作歌舞伎を上演したりと、もともと制作にも興味を持っていました。彼らは、僕の日本オリジナルミュージカルへの夢に共感してくれて、5〜6年前から活動を開始し、それが少しずつ形になってきています。実は、すでに上演に向けて動き出しているんです。
これからの時代は、役者はだだ待っているだけではダメだと思っています。古き良き海外の名作も大事にしつつ、新たなミュージカル作品、エンタテインメント、魅せ方を自らも企画していかなくてはいけないのではないかと。そのための動きは、今後も続けていきたいです」
山崎育三郎(やまざき・いくさぶろう)
1986年1月18日生まれ。東京出身。2007年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢。以降、ミュージカル俳優として活動。2015年、ドラマ『下町ロケット』(TBS)で一躍注目を浴び、その後は多くのドラマにも出演。2020年春にはNHK連続テレビ小説『エール』に出演。主人公(窪田正孝)の幼なじみで、歌手になる佐藤久志役を演じ、劇中で歌声を披露して話題を呼んだ。
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<ドラマ紹介>
日本テレビ系『私たちはどうかしている』
8月12日(水) 22時スタート 日本テレビ系
「BE・LOVE」にて連載中の、安藤なつみの同名漫画をドラマ化。老舗和菓子店・光月庵を舞台に、和菓子職人の花岡七桜(浜辺美波)と、跡取り息子の高月椿(横浜流星)が、15年前のある殺人事件を巡り、過酷な運命に翻弄されながらも惹かれ合う姿を描くラブ・ミステリー。
「ハラハラしたり、ドキドキワクワクしたりと、とても刺激的な内容です。美しい日本の伝統や文化にも触れていただけるので、幅広い世代の方に、いろいろな楽しみ方をしていただけると思います。ぜひご覧になってみてください!」(山崎さん)
原作:安藤なつみ『私たちはどうかしている』(講談社『BE・LOVE』連載)
出演:浜辺美波 横浜流星 高杉真宙 岸井ゆきの 和田聰宏 岡部たかし 前原滉 草野大成 / 山崎育三郎 須藤理彩 / 中村ゆり 鈴木伸之 / 佐野史郎 観月ありさ
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©NTV
取材・文/神山典子
構成/川端里恵(編集部)
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