一方、オーソドックスな投資手法の場合、どのようなリスクを取っているのか事前に定量化できますから、リスクをコントロールできます。リスクを取らなければ利益を得られないのは当たり前のことですが、自分がどのようなリスクを取っているのか分からないというのは投資において最悪の事態です。その点からすると、オーソドックスな投資手法を用いた方が圧倒的にコンロトールしやすく、利益を上げられる可能性も高まってきます。
本気で株式市場に向き合っている人からすると、インサイダー取引はリスクが大きく、しかも犯罪ですから、まったく魅力的ではないのですが、世の中ではインサイダー取引は儲かるものという認識が強いようです。そうだからこそ、今回のような出来事があると、誰かがインサイダー取引で儲けているのではないかとの疑念を持ち、それが噂として拡散するわけです。
つまり、インサイダー取引の噂が出やすいということは、多くの人があまり投資経験を積んでおらず、株式投資というものの現実についてよく理解できていないこと意味しています。逆にいえば、投資の経験を積む人が増え、資産形成がもっとメジャーになってくれば、インサイダー取引で誰か儲けているという疑念を持つ人も少なくなってくるでしょう。
これは投資だけではなくビジネスにもあてはまる話です。
世の中にはモラルに反することをして利益を上げている人もいますが、それはごく少数であり、しかもこうしたモラルに反するビジネスというのは意外と儲かりません。投資と同じくビジネスも、多くの人が喜ぶサービスや製品を提供するなど、真正面から取り組んだ方が圧倒的に大きな利益が得られます。投資と同じく、ビジネスが得意な人からすると、反社会的なビジネスというのはまったく魅力的ではないのです。
一連の話を聞いても「儲けている人はきっと悪いことをしているに違いない」と考えてしまう人は、少々、猜疑心が強すぎるかもしれません。猜疑心が強すぎると、資本主義社会で成功のカギとなる「人を信じる」能力を発揮しにくくなりますから要注意です。
資本主義社会において「人を信じる能力」というのはとても重要です。
相手が不正を働くことを大前提にしてしまうと、いちいち相手を調査したり、対策を講じるなど、コストがかさみ収益が悪化します。むやみに人を信じるのはいけませんが、信頼できる人をしっかり選び、その人に対しては思い切って心を開くというのは、ビジネスで成功する大事な要素です。現代の資本主義社会というのは、相手に対する信頼をベースに構築されているという現実を忘れないでください。
前回記事「破産者情報サイトが写し出す、日本の「他人の失敗を許せない」国民性」はこちら>>
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