ミモレで2021年に公開された記事のうち、特に人気があったものをご紹介します。よろしければぜひご一読ください。

まるで浮世絵から現れたかのような着物美人をSNSで発見! 彼女たちに共通するのは、都会の街にすんなりと馴染む、色調が控えめな着こなしであること。今回は5人の和装美人に、着物を着るようになったきっかけやお出かけの様子などを伺いました。現代に寄り添った「着物リアルクローズ」の着こなしをご紹介します。

 

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都会の街に馴染む色調を控えたモダンな着こなし


masaeさん(33歳) 職業:主婦 着物歴:2年半

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SNS投稿写真の定位置は、着物を着るきっかけになったお祖母様の桐箪笥の前。草花模様のシルバー地の着物に、シックな黒の名古屋帯を合わせて。濃い紫の帯揚げが装いのアクセントに。

今から3年ほど前、お祖母様の家を整理していたmasaeさん。桐箪笥に入ったたくさんの着物を見て、これから迎えるお子さんの七五三や入学式などのお祝いで着たいと思ったのがきっかけでした。
まずはすでに着物を楽しんでいたお姉さんから着付けを教わり、その後、近所の着付け教室へ。とにかく着たい気持ちが強く、教室にも着物で通う熱量のおかげで、2週間後にはお出かけを楽しみ始めたそうです。
またSNSで着物の写真を投稿し始め、同じように着物を楽しむ方とたくさんの出会いが。多くは歳上の女性で、生き生きとおしゃれを楽しむ姿に刺激をもらっていると言います。これまで50〜60代になってファッションを楽しんでいるイメージが湧かなかったのに、(50歳になったらあんな着こなしがしたい)と夢が膨らむように。歳を重ねることに前向きな気持ちが芽生え始め、さらに着物熱が深まっているそうです。

Instagram:@masankimonoこれから先、できることなら一生を通して、無理なく自分らしく着物と向き合っていけたらと思っています。

 

小物を黒で統一、スタイリッシュな都会スタイル


鍋谷徳子さん(38歳) 職業:ネイリスト 着物歴:2年

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初めて自分で買った、記念すべき単衣の着物で“銀ぶら”。帯と草履はブラックで統一してシックに仕上げました。

ネイリストである鍋谷徳子さんが着物に興味を持ち始めたのは、結婚祝いにお母様が訪問着や紬を誂えてくださったことでした。毎年お正月には着物で過ごすお母様の姿を見て育ったこともあり、自分で着られるようになれたらと日頃から思っていたそうで、着付け教室へ通い始めます。約半年ほどで着られるようになると、どうしたらカッコよく見せられるかなど、美しい着こなしのコツも少しずつ分かり始めてきたと言います。着物は着付け教室のイベントなどで買うことが多いようですが、最近は「銀座もとじ」さんもお気に入り。
休日にはご主人とのデートや着物仲間とのお食事会、着付け教室が主催するイベントなどでおしゃれを楽しんでいます。

Instagram:@naughtygirl916着物はいつもと違う自分になれる。いつかは普段着として着られるくらいになりたいです。


ビビッドな色の効かせ技で古い着物をモダンに


ウエムラタカコさん(48歳) 職業:マネージメント業務 着物歴:3年

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お母様の大島紬に「THE YARD」で購入した博多帯を合わせて。黒×黒のモノトーンに着物の柄にある赤を帯締めに効かせました。写真は着付けを習い始めたばかりのころで、「乱れていてスタイルがよく見えませんね」とウエムラさん。とはいえ、着られるようになった喜びが表情から伺えます。

「着物が楽しくて仕方がない」と話してくれたのは、ウエムラタカコさん。子どもの成長とともに、自分に費やせる時間が増えたことで着物のおしゃれを楽しみ始めました。
ウエムラさんのきっかけも、お母様の桐箪笥。「こんなに素敵なものを誰も着ないだなんて、もったいない!」と思い、神宮前にある「THE YARD」(当時は渋谷)で開催されていた着付け教室へ。週に一度のペースで通い、1ヶ月が過ぎたころには自分で着られるようになっていたそうです。
譲り受けた着物や帯をいかに自分らしくおしゃれに着こなせるか、色や小物の合わせ方を考えるのも楽しみの一つだと言います。何よりも、自分で着られるようになって衿の抜き方や、帯の位置でスタイルがよく見せられることを発見。体型に変化を感じ始めた40代、いかに美しく見せられるかを研究しているそうです。
着物好きの友人と定期的に「着物の会」を企画したり、着る機会を増やすために、美術館巡りをするように。これまであまり興味のなかった工芸や美術品への知識も増えつつあるといいます。

Instagram:@kimono_uemuu着物を着るとすごくワクワクするんです! 背筋が伸びる感じも好き!


深みのある紫色で、品のよい着物ならではの装い


立花木乃斐さん(31歳) 職業:家事手伝い きもの暦:4年目

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資生堂パーラーの銀座本店へ夏きもので。長襦袢の地が透けることで、周囲の人に涼を感じてもらえるのも着物ならでは。日本文化の粋な演出です。

彼女が着物に興味を持ち始めたのは4年前。高校の同窓会のお知らせが届き、お母様に「着物で参加してみたら」と提案されたことがきっかけでした。会場では着物好きの同級生と話が盛り上がり、連絡を取るように。以来、定期的に着物でお出かけをするようになったそうですが、しばらくは自分で着ることができず、お母様や着付師さんにお任せしていたそうです。
それが自粛期間を機に着付けの練習をスタート。友人にコツを教わったりYouTube動画を見ながら、自分の体型に馴染む着付けを習得。約2ヶ月間で8回ほど練習し、自粛後に念願のお出かけデビューを果たしました。
自分で着られるようになってからは、銀座や、美術・観劇鑑賞、庭園散策、ホテルや百貨店での会食や、史跡巡りなどこれまで以上に楽しんでいるそうです。作法やお手入れもあって、簡単・便利とはかけ離れた着物の世界。でもそのおかげで、和文化への教養、美しい所作など多くのことに興味を持ち始め、丁寧な暮らしを意識するように。着物がもたらしてくれた気持ちの変化を教えてくれました。


高校の同級生と再び、親交を深められたこと、着物や和文化に詳しい方々と知り合えたことなど、きものは多くの方とのご縁を繋いでくれています。


色の組み合わせを楽しんで、大人の可愛いを凝縮


meiji.okimonoさん(29歳) 職業:会社員 着物歴:3年

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ブルーグリーンの紬を着て、趣味の生け花で使う花器を求め、陶器で有名な常滑へ。袖からほのかにのぞく裏地にはキレイなグリーンを。小さな世界のこだわりにセンスが光ります。

「レンタルではなく、京都の街並みを自分の着物で歩きたい」――。旅行好きなmeiji.okimonoさんが着付けを習おうとしたきっかけです。
その後、呉服屋さん主催の着付け教室で数回学び、YouTubeやInstagramなどの動画で自主練習をし、1ヶ月程度でお出かけが楽しめるようになったそうです。
以来、歌舞伎や美術館、お花見など、少し背伸びをして出かけたい時はほとんどが着物に。さらに着付けの練習を兼ねて定期的に友人と「着物会」を企画。可愛いカフェなどを見つけては、気軽に着物を楽しんでいるそうです。
着物が着られるようになって、紐の締め加減などが調整できるようになり、「着物は窮屈、苦しい」という考えがなくなったそう。さらに着物の格や雰囲気に合わせて半衿の見せ方や抜き具合を変え、見せたい自分に演出ができるのも魅力だと教えてくれました。

Instagram:@meiji.okimono着物は無敵。どんなブランド品も流行りのメイクも敵いません。そして半衿や帯揚げなどの小物にこだわれる、粋な世界観も魅力です。


着物美人のはじめの一歩、それは自分で着られること


古典柄や色彩が美しい着物スタイルとは少し雰囲気の異なる、色調を抑えたモダンな装い。それは、着物を着るだけで目立ってしまいがちな現代社会にすんなりと溶け込める、今の時代の着物の楽しみ方かもしれません。今回ご紹介した着物美人の皆さんは、すでに休日のおしゃれとして大人シックなコーディネートを楽しんでいました。
そんな彼女たちに共通しているのは「自分で着られるようになった」こと。着付けのスキルを身につけたら、休日の幸せが一つ増えそうです。ご実家の箪笥で眠っている着物、そろそろ起こしてあげてはいかがでしょう。
 

SNSで見つけたリアル着物美人スナップを一挙に見る
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① Masaeさん(左) 彼女には着物好きな2つ上の姉と双子の姉が。三姉妹で出かける時は、着物が多く、お祖母様や親族の方から譲ってもらった着物や小物を3人で交換したり、アドバイスをし合いながら楽しんでいるそうです。

 masaeさん お子さんがまだ小さいこともあり、家族でのお出かけでは、洗える素材を選んで汚れを気にすることなく楽しんでいます。

③ ウエムラタカコさん 目黒区駒場にある日本民藝館へ。お母様の単衣の塩沢紬に合わせたのは、鮮やかなグリーンの名古屋帯。なんとメルカリで1700円だったそう! シルバーの三分紐の帯締めと、小さな帯留めはお気に入りのお店「THE YARD」で。

④ ウエムラタカコさん(右から二番目) 昨年の夏、中目黒にあるお気に入りのショップ「KAPUKI」の店主レイコさん(中央)と、ご友人たちと浅草寺へお出かけ。彼女が着ている小千谷縮も「KAPUKI」にて。浴衣としても夏着物としても楽しめるお気に入りの一枚だそうです。

立花木乃斐さん 東京国立博物館で開催されていた「きもの展」へ。薄い黄色地の夏の付下げに、帯は白で涼やかに。ペールトーンでまとめた優しくはんなりとした装いです。

⑥ 立花木乃斐さん(中央) 着物仲間との三重旅行では、松阪木綿の着物をレンタルして街を散策。縞の幅や色のコントラストによって雰囲気は随分と変わります。

鍋谷徳子さん 大胆な松の柄に一目惚れ。アーティスティックなデザインが、目鼻立ちの整った鍋島さんの雰囲気にぴったり。

⑧ meiji.okimonoさん 大好きな歌舞伎の中村屋さんの公演へ。クリーム地の小紋の柄の薄桃色と帯をリンクさせたフェミニンなはんなりコーデです。ヘアスタイルはあえてまとめず、ボブスタイルのままにしてカジュアルダウン。



取材・文/笹本絵里
この記事は2020年10月7日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。