東京医科歯科大学を首席で卒業した歯科医の森下真紀先生は、学生時代に留学したイギリスで、同級生たちの「歯」に対する意識の高さに愕然としたそう。中学時代に矯正をしたことで歯科医師を志したという森下先生に、矯正のメリットと近年増えている「大人の矯正」について聞きました。

森下真紀氏:歯学博士・歯科医・日本歯科総合研究所代表取締役社長。東京医科歯科大学歯学部歯学科を首席卒業。在学時、英国キングスカレッジ歯学部留学、東京医科歯科大学大学院にて博士号取得。都内、千葉県内の歯科医院での診療に加え、企業と口臭対策や歯周病対策でコラボするなど、「日本を世界一の歯科先進国へ」をミッションとして掲げ、歯科業界の発展に貢献すべく活動を行っている。

 

矯正をして生まれ変わった


――矯正のご経験があるそうですが、矯正で何が一番大きく変わりましたか?

森下真紀先生(以降、森下) 中学時代に矯正をしていたんですが、器具が外れた時の感動は今でも心に残っています。それに歯並びが良くなっていくと自然と笑顔も増え、どんどん社交的になりました。矯正治療によって自分の内面まで変わっていくのがすごく面白く感じて、それがきっかけで矯正の専門医になりたいと思ったんです。
その後、大学生の時にイギリスの大学の歯学部に留学する機会を得たのですが、そこの生徒たちが皆一様に歯が真っ白で、完璧な歯並びだったことに衝撃を受けました。
日本だと歯医者さんであっても歯が黄色かったり、歯がガタガタという人は少なくなかったので、その意識の差にびっくりしたんです。

 

欧米の一流は「歯」で人を判断する


そもそも欧米では、「歯列矯正をしなくてもいいほど歯並びが整っているかどうか」が矯正の治療基準のため、子ども時代に矯正をするのはごく当たり前なんです。
でも日本は、「歯並びが悪いかどうか」で矯正をする・しないを考えますから、スタートから考え方がまったく違うんです。
さらに1980年代に八重歯がアイドルのチャームポイントとしてもてはやされたこともあり、日本は歯に対する感覚が欧米とはちょっとズレています。欧米で八重歯と言えば不吉なものとして忌み嫌われ、ファーストクラスの客が日本の客室乗務員の八重歯を見て退却をお願いした実話もあるほどですから、その違いがどれほどのものかおわかりいただけるかと思います。
ただ今のようなグローバル社会で言えるのは、歯並びはキャリアにも大きく関わってくる、ということではないでしょうか。

――一方、今はマスク必須というご時世もあり、矯正を受けたいと考える人が増えていると聞きます。


森下 マスクで矯正器具が目立たないため、「今」やりたいと来院される方は実際に多くいらっしゃいます。
それに人生100年時代ということで、50代以上の方で矯正をご希望されるケースが少なくないんです。「この年齢でもできますか?」と聞かれることもすごく多いんですよ。

 
  • 1
  • 2