調査会社が毎年、発表している都道府県魅力度ランキングで初の最下位となった栃木県の知事が、結果に納得がいかないとして、調査会社に直接、乗り込むという出来事がありました。気持ちは分かりますが、こうした行為には何の意味もないどころか、逆にデメリットの方が大きいのが実状です。

 

今回の件に限らず、各種ランキング結果について不満を示すケースがよく見られますが、残念ながら、こうしたマインドのままでは、ランキングに振り回されてばかりとなってしまいます。

このランキングは、ブランド総合研究所という企業が毎年行っているもので、よくメディアにも取り上げられますから、聞いたことがあるという人も多いと思います。全国の市区町村や都道府県について、約3万人を対象に調査しているものですが、今回の都道府県ランキングでは栃木県は43位から最下位の47位に転落しました。

同県の福田富一知事は、「納得できない」「直談判する」と発言し、実際、同社に乗り込み、意見の申し入れを行ったそうです。

この行為がなぜいただけないのかは、ランキングが持つ特質について考えればすぐに分かるのではないかと思います。ランキングというのは一定の基準で評価を行い、順位を付けたものです。今回、栃木県が最下位になったということは、別の県の順位が上がったということを意味しています。

栃木県としては結果に納得していないということですが、これはウラを返せば、他の県が自分よりも上にいるのがおかしいと主張していることと同じになります(この結果に抗議するということは、他の県のランクを下げろと要望していることに他なりません)。具体的に名前をあげて「○×県の方が順位が低いはずだ」とは主張できないので、調査会社に文句を言っているのだとすると、最初から「負けゲーム」であることは明らかです。

もし順位を付けることそのものを否定するのであれば、(その意見の善し悪しはともかくとして)スジは通りますが、栃木県はあくまでも結果に対しての抗議ですので、これには当てはまらないでしょう。

知事は、調査の精度や項目などについて意見したとのことですが、同じタイミングで発表された市区町村ランキングでは、栃木県の日光市が何と全国13位と大健闘しています。もしこの調査の制度に問題があるということであれば、同じ県内にある日光市の結果はどう考えればよいのかという問題が生じてしまいます。

 
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