お隣の茨城県は、このランキングで8年連続最下位でしたが、これを自虐ネタに使ったり、県産品のアピールなどを行い、今年は順位を上げることに成功しました。あくまでランキングは、ある基準に沿った結果に過ぎず、基準が変われば順位も変わりますから、うまく利用すればよいというドライな割り切りが必要でしょう。 

 

日本は、義務教育の段階から、勉強や体育を通じて徹底的に順位付けするなど、点数を競わせる社会ですから、ランキングについて過度に敏感になっているのかもしれません。国際機関などが発表する各国の比較ランキングについても、国内では感情的な反応が目立ちます。

 

例えば、女性の地位に関する国際ランキングでは、日本はいつも低い結果となっています。国内ではこうしたランキングに対して反発する声も大きいのですが、同じような状況だったフランスの対応は日本とは正反対でした。

フランスは女性が活躍しているイメージがありますが、現実はそれほどでもありません。カトリック圏ということもあり、欧州の中では男性優位な国として知られてきました。当然、女性活躍に関するランキングも、(日本ほどではありませんが)欧米先進国としては低い順位に甘んじていたのです。

しかしフランスが取った行動は、このランキングに抗議したり、国内でグチを言い合うことではありませんでした。ランキングの調査項目を徹底的に調べ上げ、点数が上がるよう重点的に対処したのです。その結果、ランキングの順位も上昇し、フランスは女性の地位が高い国として認識されるようになっています。

こうしたランキングで上位に立てれば、フランスは他国に対して「あなたの国は女性がまだまだ活躍できていない」などと指摘することで、外交交渉でも優位に立つことができます。

ランキングというのは、このような形で利用すべきものであり、その結果に不満を言うためのものではありません。ランキングに対して不満を言うということは、逆に言えば、そのランキングをとても気にしているということですから、弱点をさらけ出しているようなものです。

各種ランキングを行っている調査会社やマーケティング会社の人たちの間では、調査に非協力的な組織ほどランキング結果を気にしていて、クレームをつけてくる確率が高いというのは半ば常識となっています。賢い組織はランキングで上位になるよう、積極的に情報提供を行い、自らが有利になるよう戦略的に行動しています。

一連の話は、組織に関してのみならず、私たち個人にもあてはまると思います。世の中は甘くはありませんから、有利に生き延びていくためには、このくらいの狡賢さが必要ではないでしょうか。
 

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