グーグル創始者のサーゲイ・ブリンとラリー・ペイジ、英国王室のウィリアム王子や長男のジョージ王子、藤井聡太棋士などが受けていたことで話題のモンテッソーリ教育。
100年以上も前に、イタリアで初めて女性の医学博士となったマリア・モンテッソーリが発見した革新的なメソッドであり、天才児や成功者を生み出す特別な教育と思われがちですが、毎日の子育てにこそ、活かしてほしいものなのです。

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今年はコロナ禍で、どのご家庭も子育てに悩まれたことと思います。
このような環境の変化の中で、モンテッソーリ教育を受けた子どもたちはどう過ごしたのでしょうか?
素晴らしい実例がたくさん寄せられたという田中昌子さん(エンジェルズハウス研究所所長)に伺いました。田中さんは、長年、モンテッソーリで子育て支援を続けていらっしゃいます。

まずは、ウェブサイト「子育て相談 モンテッソーリで考えよう!」(講談社絵本通信)に寄せられた実例をご紹介しましょう。

 


実例① 息子と向き合える時間がもらえた

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コロナ禍で学校が休校になっても、息子はまったく困った様子がなく過ごしていました。宿題も気持ちが乗っているときにさくっとこなし、ほかの時間は、自分のために使っていました。

家族がそろう朝ごはんのときには、ホットケーキを作ってくれるのですが、その段取り力がすごかったのです。

まず料理をしやすいようにまわりを片付け、使う器具を出し、小麦粉や砂糖を計量します。作り方の手順は頭に入っているらしく、手際よく作ってくれます。
この手先の器用さは、幼少期のモンテッソーリ教育の積み重ねのおかげではないかと思います。

もちろん、コロナ禍は早く終息してほしいですが、このように息子と向き合える時間を持てたのはありがたい、と考えています。


実例② きちんと自己管理できるから、すべてお任せ


休校になっても、息子に一日の過ごし方はすべて任せています。なぜかというと、息子は自分できちんと自己管理ができるからです。

ユーチューブを観たりゲームをするときも、自分で時間を決めてタイマーをかけます。マンガを読んだり、工作も好きにやらせています。
学校からプリントが送られてきましたが、いつやって、どれだけ進めるかも、息子が自分で段取りするのです。

モンテッソーリ教育で学んだ経験から、私は息子を信頼して、自分の人生を生きていくためにどうしたらいいのかを考えさせています。そして、危険なことでない限り、どれだけ失敗してもいいのですべてを任せることにしています。

子どもを信じて見守る

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自分から進んでやり、自己管理ができる子どもたち――。こんな子どもに育ってほしいと、誰もが思うことでしょう。
でも、ほとんどの親は反対のことをしています。ふだんの何気なく口にする言葉や行動で、子どもたちの成長をはばんでしまっているのです。

こんな言葉を子どもに言ったことはありませんか。

① 「早く。急いで。時間がない。遅れるよ」……せきたてる言葉
② 「次は〇〇してね。〇〇しなさい」……先取り・命令の言葉
③ 「ダメ。やめなさい」……禁止・中断の言葉
④ 「まだむり。私がやってあげる」……代行の言葉
⑤ 「好きにしなさい。もう知りません」……放任の言葉

(※相良敦子先生の研究・分析より抜粋)

 

これらは「子どもの人格を形成するときに避けたい5つの言葉」なのです。ほとんどの親が思いあたることがあるのではないでしょうか。

せきたてられてばかりいた子どもは、自分のリズムで考えられなくなります。それでは不満を抱え込むことになってしまいかねません。
「ダメ」と言われてやらせてもらえなかった子どもは、自分で乗り越える経験がないため、集中力や我慢強さに欠けて自信が持てなくなります。
いつも親がやってあげていた子どもは、自分からやろうという意欲がなくなります。

これらの言葉は、「大人が自分勝手な命令をするために、せっかく芽をだそうとしているすべてのよい力を抑えてしまう」のです。

では、どうしたらいいのでしょうか。
ぜひ親にやっていただきたいのは、子どもを否定するのではなく、「子どもをまるごと認める」ことです。どの子もみな「まるごと大好き」と受けとめてあげましょう。「勉強ができるから」「お手伝いをよくするから」好きなのではありません。
子どもは、そこに存在しているだけで十分にすばらしいのです。
心からそう思えたとき、お子さんが本来もっている力が発揮されることでしょう。


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『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役たつQ&A 68』
モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所所長
田中昌子:著

「なんでうちの子はこうなの。」「子育てがうまくいかない。」――。
幸せな子育てをしたいと思っているのに、なぜかイライラしたり叱りつけてしまったり。まわりに相談できる人も少ないなか、悩みを抱え込んでしまっている方が多いと感じています。

そんな保護者を応援しようと、田中昌子先生が始めたのが、日本初のモンテッソーリIT勉強会「てんしのおうち」です。
自宅でモンテッソーリ教育の理論を学びながら、子育て相談もできる画期的なシステムで、勉強会で学んだ方からは、「子育ての指針ができた。」「ブレなくなった。」という声がたくさん届いています。

この本では、「子育て相談 モンテッソーリで考えよう」に寄せられた質問に加え、モンテッソーリIT勉強会「てんしのおうち」に寄せられた1万5000通もの子育ての悩みの中から、どのご家庭にも役立つ68の質問を選び、お答えしています。

身近な悩みを通して、モンテッソーリ教育の考え方を知れば、今度はご自身で悩みを解決できるようになります。さあ、今日から、幸せな子育てをはじめてください!
 


田中昌子(たなか・まさこ)

モンテッソーリ子育て支援、エンジェルズハウス研究所所長。国際モンテッソーリ協会(AMI)公認モンテッソーリ教師。上智大学文学部卒。日本初のインターネットを利用したモンテッソーリIT勉強会「てんしのおうち」主宰。各地のモンテッソーリ園で保護者向けの講演会を行うほか、カルチャーセンターの講師をつとめる。著書に『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』(講談社)、『マンガでやさしくわかるモンテッソーリ教育』(日本能率協会マネジメントセンター)。共著に『お母さんの工夫 モンテッソーリ教育を手掛かりとして』(相良敦子共著、文藝春秋)。監修に『親子で楽しんで、驚くほど身につく! こどもせいかつ百科』(講談社)がある。


構成/高木香織

第1回 藤井聡太棋士もグーグル創始者も出身者。「自分で考える子」を育てる幼児教育メソッドとは?>>