【質問6】治療方法は?


治療は、病気の起こったメカニズムによって少しずつ異なります。

アレルギー性の鼻炎が背景にあって生じている場合には、鼻にスプレーをするタイプの点鼻ステロイド薬という薬剤が最も有効であることが知られています(参考5)。効果は早いと2~3日で出始め、咳が減り始めます。最終的には2週間ほどみて有効かどうかを判断することになります。有効と判断された場合には、3カ月ほど治療を継続して治療終了となります。

 


アレルギーが関与しない場合には、抗ヒスタミン薬と呼ばれる飲み薬や、プソイドエフェドリンと呼ばれる成分と抗ヒスタミン薬の合剤がよく用いられます。これらの飲み薬を用いる場合にも、数日から2週間で咳が減るかどうかを見て、有効性を判断します。

これらの治療に全く反応しない場合には、改めて診断から見直し、そもそも本当に診断が正しかったか、他の原因はないかを調べていくことになります。

先にも説明したように、治療への反応性も含めてやっと「確定診断」となることが多いのです。

医療の世界では、「診断は〇〇で、治療は△△です」というように原因や治療が単純明快なものもあれば、今回ご紹介した慢性上気道咳嗽症候群のように、なかなか診断が一筋縄ではいかない病気も存在します。

それが医師という仕事のやりがいの一つでもありますが、もどかしいところでもあります。

病院を何度か受診され「こんなに時間をかけておきながらまだ診断がつかないのか」と思われることもあるかもしれません。ですが、有用な検査がなく、なかなか診断が難しい病気もあるということは、ぜひ知っておいていただければと思います。

この記事は2020年12月1日に配信した人気記事の再掲載です。

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参考文献
1    Irwin RS, Baumann MH, Bolser DC, et al. Diagnosis and Management of Cough Executive Summary. Chest 2006. DOI:10.1378/chest.129.1_suppl.1s.
2    Pratter MR. Chronic upper airway cough syndrome secondary to rhinosinus diseases (previously referred to as postnasal drip syndrome): ACCP evidence-based clinical practice guidelines. Chest 2006. DOI:10.1378/chest.129.1_suppl.63S.
3    Irwin RS, Curley FJ, French CL. Chronic cough. The spectrum and frequency of causes, key components of the diagnostic evaluation, and outcome of specific therapy. Am Rev Respir Dis 1990. DOI:10.1164/ajrccm/141.3.640.
4    Pratter MR, Bartter T, Akers S, DuBois J. An algorithmic approach to chronic cough. Ann Intern Med 1993. DOI:10.7326/0003-4819-119-10-199311150-00003.
5    Wallace D V., Dykewicz MS, Bernstein DI, et al. The diagnosis and management of rhinitis: An updated practice parameter. J Allergy Clin Immunol 2008. DOI:10.1016/j.jaci.2008.06.003.

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