〔ミモレ編集室〕のちさです。
皆さん、ご自身の好きなファッションは、どのようにして見つけましたか?
その出会いはどんなものだったのでしょうか?

私は自分の好きな、そして似合うファッションを見つけるのに少し遠回りをしました。

簡単に自己紹介をしますと、私は1978年生まれの、現在42歳。
私がおしゃれに目覚めた青春時代は90年代後半であり、安室奈美恵さんのファッションを真似たアムラーファッションの全盛期。
または、赤文字と呼ばれるファッション誌(Can Cam, JJ, Vivi, Rayなど)が提案する、コンサバ系やギャル系ファッションが人気を博していました。

私は、そのどちらも似合わなかったのです。もう悲しいくらいに。
 

我が青春時代・90年代のファッション傾向


様々なテイストが存在しうる2020年現在と違って、当時は流行のファッションが全て!(と、記憶しています)
大学構内を見渡しても似たようなファッションの女子ばかりだし、アムロちゃんのミニスカートが流行れば、街中がミニスカート。
大規模ショッピングモールに行っても、流行外の、例えばロングスカートを探すなんて至難の業でした。

もちろん、流行を追いかけない人々もいます。しかし、それはかなりのお洒落上級者たち。

そんな人々の真似をするほど、ファッション偏差値が高くない私。
かと言って、当時の流行も着こなせない。いったい、どうしたらいいのでしょう。


私が着こなせない最大の理由、それは……顔がクドいこと!!!

目は大きいといえば聞こえはいいけれど、どちらかと言えばギョロリ。
何度、先輩に校舎の裏に呼び出されたことか。(実際は階段の踊り場)

電車内では、ただ息吸って吐いているだけなのに、『睨んでるんじゃねぇ!』と凄まれ……要は可愛気のない顔なのです。


アムロちゃんは、あの小っちゃくて愛くるしいお顔に、強めのアイメイクがすごくマッチしていてかっこいい。
赤文字系ファッション誌でも、ダークカラーを使った目にポイントのあるメイクが主流でした。

ファッションにおいては、アムロちゃんが着ていた細身のワンボタンスーツや、男性ウケ抜群のフワフワニット(なぜか冬でも半袖や肩出し)に、スリットの入ったスカートと細身のストレッチブーツが大人気。

当時はそんな美しく、少しセクシーなお姉さま達が街を闊歩していました。

私ももちろん真似っこ。それがどうでしょう……
少しセクシーどころか、単にガラが悪い人。 

ストーリーが繋がるヴィンテージの世界_img0
 

アムロちゃんを意識して、シャギー入れまくりのヘアスタイルに、やたらピカピカパール入りのメイク。

はい、全然似合っていません。
当時流行っていたボルドーのニットも、本当に好きで着ていたのか疑問です。


逆に、もっとベーシックなカラーを身にまとい、アイメイクも薄くしたことがあります。
しかし、単なる(顔だけ派手な)地味な人に成り果ててしまいました。

お洒落は大好きなのに着るものがない、というお先真っ暗になったとき……ファッションの神様はそんな私でも見放さなかったのです。

 


ファッションの神様は納戸の中


ある日、実家の部屋の片付けをしていたら、納戸から古いアルバムが出てきました。
開いてみると、両親の新婚旅行の写真(1970年頃)。
その中にいる母の美しさとファッションは、大きな衝撃でした。

ストーリーが繋がるヴィンテージの世界_img1
 

赤いニットに真っ白なバギーパンツ。
大人の女性にこそ似合う、チェーンバッグと真っ赤なリップ。

たしかに90年代にもチェーンバッグはありました。
でも、ちょっとよそ行きすぎるのです。夜のディナーに出かけるような。
でも、母はカジュアルなスタイルにサラッと持っています。

そして、90年代当時の女性のデニムといえば、インディコブルーのブーツカット一択。
ボーイフレンドやスリムなど、幅広いシルエットが出てくるのは、もう少し先です。
こんな太いバギーパンツは見たことがなく、さらに爽やかな白!
ダークカラーばかり見ていた私の目には、とても新鮮に映りました。

続いてこちら。
フワフワな巻き髪に、アクセサリーのように使ったサングラス。
シックな色合いのボーダーニット。 

ストーリーが繋がるヴィンテージの世界_img2
 

このボーダーに一目惚れでした。
当時の私には、ボーダーとは子供っぽく地味な服というイメージがありましたが、母のそれは女性らしい細身なラインに、大人っぽい配色。
露出はしていないのに、ほんのり感じる色気。

母はこれに鮮やかなグリーンのスカートを合わせていたそうです。(写真では茶色のひざ掛けで見えないですが)

90年代の、ダークカラーが中心の少し露出多めの流行とは真逆です。
私はこの時代の、色とりどりの華やかさの中に共存する、カッコよさと可愛らしさに魅了されたのでした。

そして、『もしかして、この時代の流行の方が自分に似合うのでは?』という考えに行き着きます。

だって、同じ遺伝子を持った母がこんなにも美しく着こなしているのだから!
今までこの濃い顔を薄めるために、シンプルで淡い色を身につけようとしていたけれど、主張の強いものの方が良いのかもしれない!

これぞまさに、私の求めていたファッションとの出会いだったのでした。

 
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