現在子育てに奮闘している親たちが育った時代と違い、今まさに成長過程にある子どもたちは、インターネットという新たなリスクに晒されています。ネットを通じて知らない人と会ったり、SNSに誹謗中傷が書き込まれるなど、女の子の子どもを持つ親たちが神経を尖らせざるを得ないニュースも少なくありません。そんな現代において、日常に潜む危険から子どもを守るため、そして子どもが自分の身を守るためにも役立ててほしいのが、弁護士の上谷さくらさん・岸本学さんの共著『おとめ六法』です。女性の身に起こりうるあらゆるトラブルを法律の観点から紐解き、私たち自身が持っている権利を守り抜くための知恵を授けてくれる本書は、親子で一緒に法律について学べる貴重な一冊。「あなたの味方はここにいるよ」そう語りかけてくれる法律集『おとめ六法』から、今回は特別に子どもの身にも起こりうる性暴力やSNS被害について、内容を一部抜粋してご紹介します。
【SNSでの誹謗中傷】インターネットは「公共の場」
SNSによって人々が得た力は、使い方によっては、誰かを傷つけるものにもなります。匿名で簡単に、誰かを中傷することも、嫌がらせをすることもできてしまいます。そのようにSNSを誰かを傷つける目的で使用した人の身元が特定され、警察の捜査対象とされたり、民事で損害賠償を請求されたりする事案も少なからず発生しています。
インターネット上に投稿された内容は、多くの場合、世界中の誰もが見られる状態に置かれます。検索すれば、誰もが簡単にそれを発見することもできます。インターネット上の投稿は、それが公開されているかぎり、「公共の場」での発言です。対面での発言と同じくらいの慎重さが必要です。
●「SNSでの誹謗中傷」からあなたを守る法律は?
プロバイダ責任制限法 第1条 趣旨
この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限および発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。
刑法 第230条 名誉毀損
1 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役、もしくは禁錮、または50万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
刑法 第231条 侮辱
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留、または科料に処する。
●手続きは?
誹謗中傷への対応は、大きく分けて2つあります。
①削除請求……匿名掲示板やサイトの管理者に対して書き込みの削除を求める
② 発信者情報開示請求……書き込んだ人物を突き止めて、その人物に損害賠償請求などをする
まずは削除依頼フォームなどの問い合わせ窓口を通じてサイトやSNSの運営者、管理者に、問題の書き込みの削除を求めるという方法があります。しかし、それでもサイト側が削除しない場合は、サイトを運営している会社に対して書面を送って削除を求めます。それでもだめなら、裁判所に訴えることで削除を求めることになります。また、警察に被害を訴えるほか、加害者を特定して民事上の損害賠償請求を行うこともできます。
参考:【SNSでの誹謗中傷】被害者にも加害者にもならないために、親子で学ぶ法律と仕組み
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