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【三谷幸喜×青木さやか】「生き様」が問われる舞台の世界はやっぱり面白い

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タレントの青木さやかさんが「誰しも45歳で一度オワコンになる」をテーマに、人生を変えてくれた恩人と対談するこの企画。脚本家・演出家の三谷幸喜さんとの対談後編では、ふたりが育ってきたテレビへの思い入れについて、そして舞台の本質から見える“人生の歩み方”について熱く語っていただきます。

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大好きなテレビへのいちばんの恩返しは、
連続ドラマを作ること

 

青木さやかさん(以下、青木):息子さん、おいくつになられましたか?

三谷幸喜さん(以下、三谷):6歳になりました。

青木:今度の舞台『23階の笑い』もご覧になるんですか?

三谷:もう観ました。彼は、僕の作品は毎回観ています。今まで観たお芝居の中でいちばん面白かったと言ってました。僕のホンじゃないのがちょっと悔しい。

青木:息子さんの存在で作品やご自身にも変化がありましたか?

三谷:それはありますよね、やっぱり。彼を見ていると、僕は同じくらいの年齢の時に何を考えていただろうとか、何を読んでいたんだっけとか、いろんなことを思い出します。ふわっと蘇ってきた気持ちから示唆を得ることは多いですね。笑いのセンスとか、何を面白がるかみたいなものもすごく似ていて、やっぱり親子だなと感じます。パパの作品は、お芝居の中にまたお芝居があるのが特徴だね、そこが面白いと言ってました。劇中劇のことなんですけど。生まれて6年で、よくそんなこと言うなあって、思いました。

 

青木:これも聞きたかったのですが、三谷さんは、仕事は“恩返し”とおっしゃっていますね。それはどういうことですか?

三谷:たとえば僕の作品によく出ていただいている俳優の浅野和之さんは、昔『You Are The Top~今宵の君~』(2002年)というお芝居で、降板した役者さんに代わって急きょ入ってもらったのが出会いでした。あの時は本当に絶体絶命のピンチで、タレント名鑑のア行から順番にオファーしていって、最初にOKしてくださったのが浅野和之さんだったわけです。窮地を救ってくれた浅野さんには、一生ついていきますと本人に言いました。それ以来、ずっと出て頂いてます。そんな人がたくさんいます。だから、青木さんと仕事するのも小さな恩返し。『桜の園』も『子供の事情』も青木さんが出てくれたおかげで、お芝居がより面白くなった。それも「恩」です。だから僕の作品は、いつも誰かに対する恩返しの集合体なんです。

青木:そんな気持ちでお仕事されているんですね。だから三谷さんの作品は、あったかいのかなぁ。

三谷:もうひとつ、僕は「テレビ」にも恩返しがしたいと思っていて。なぜなら、テレビは僕が子どもの頃にいちばんハマったもので、今の僕を作ってくれたものだから。息子のような年下の人たちが僕の書く作品を見て育ってくれたら嬉しいですし、それが僕なりの大好きなテレビへの恩返しじゃないかなと、思ってます。にもかかわらず、この20年、大河ドラマ以外の連ドラをやってないのが、本当に不甲斐ないというか、情けないというか。だから今、僕がいちばんやりたいのはテレビの連ドラです。