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「女優やモデル」のメイクをしているからわかる、“美人”なことの先にあるもの【メイク水野未和子さん】

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「大人は外見より中身!」と断言するメイクアップ・アーティスト、水野未和子さん。初の著書『ディファインメイクで自分の顔を好きになる~“私だけの魅力”が絶対見つかる自己肯定メソッド』(講談社刊)が話題を呼んでいます。ミモレで紹介したいとうあさこさん×イモトアヤコさんの企画にも大きな反響がありました。「ディファインメイク」とは、コンプレックスやエイジングをカバーするためでなく、誰かのようにカモフラージュするためでもない、自分自身の延長線上にある唯一無二の美しさを「ディファイン」する(明確に際立たせる)ためのメイク。じつは、水野さんが自身のメイクが「特別」であり、ディファインすることが最大の特徴だと気づかされたのは、女優・井川遥さんの言葉がきっかけだったそう。そこで、そのエッセンスを紹介する連載、第8回は、水野さんのメイクから見えてくる「ディファインメイクにできる、本当のこと」。

メイクアップ・アーティスト水野未和子さん(右)と、ディファインメイクの取材をした筆者。


井川遥さんに書籍のモデルをお願いしたある理由


『ディファインメイク』の本を創ろう。そんな企画が立ち上がった当初から、水野さんは「モデルは井川遥さんにお願いしたい」と切望していました。それは「美人」だからじゃない、「綺麗」だからじゃない。誰より、ディファインメイクの「真髄」を知ってくれているからなのだ、と。

「井川さんがあるとき、私のメイクに対して、『最小にして最大のメイク』と言ってくれたんです。この言葉が、それはそれは嬉しくて。ここで言う『最小にして最大』はもちろん、メイクに対することだったのだけれど、私にとっては、心のあり方や人生そのものにも通ずること。あれもこれもと欲して過剰に足していくのでなく、むしろ、そぎ落としてそぎ落として、大切なものを大切にするという……。それを言葉にしてくれた気がしたんです。じつは今も、このひと言がメイクに関しても生き方に関しても、私を支えてくれています」(水野さん)

顔には、その人の生き方が現れるもの。ディファインメイクは、その人の魅力を際立たせるもの。
実際、井川さんは、見事にそれを体現してくれました。


「私が井川さんに出会ったのは、10年以上も前のこと。以来、いろいろなテーマでご一緒しているんですが、あるとき、井川さんに言われたんです。『水野さんのメイクは、何か違う』。聞けば、自分自身の顔に違いないのだけれど、いつもの顔とは明らかに違う。同じアイテム、同じ色を使っても、絶対的に違う……。家に帰ってクレンジングをするときに、鏡を見ながらメイクを観察してくれたこともあるらしいんです。『メイクを落とすのがもったいない』と言ってくれたことも。最高に嬉しい褒め言葉ですよね」(水野さん)

 

水野さんはきっと、井川さんと触れ合うたびに、自身のメイクが「特別」であることに気づかされていったのでしょう。

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