こんにちは。〔ミモレ編集室〕の悠です。
〔ミモレ編集室〕では、メンバーが企画するイベントが数々行われています。その一つとして、人気イラストレーター杉浦さやかさんをお招きし、インタビューする機会をいただきました。
フリーランスのイラストレーターとして活動し、お出かけや日々の暮らしについて多くの著書を描かれている杉浦さやかさん。
2020年秋には、新刊『ニュー東京ホリデイ』が発売に!可愛い赤い表紙がパッと目を引くイラストエッセイです。
イラストレーターとしての出発点や作品作りの裏側、新作への想いをうかがうと、そこには、杉浦さん独自の、フリーランスとしての仕事術が見えてきました。
杉浦さやかさん
イラストレーター。大学生の頃から活動を始め、日常の様々なシーンを切り取ったイラストエッセイで人気に。著書に『おやこデート』『世界をたべよう!旅ごはん』など。
雑誌のサンプルページを自作して、10誌くらいの編集部へ持ち込んだ
──杉浦さんは大学生の頃からイラストレーターとして活動していたそうですが、最初はどんなことをされていたのですか?
杉浦さん 小学校の頃からイラストエッセイを読むのが好きで、高校生の頃から実際に自分でも描いていたんです。やりたいことはずーっと変わらず、イラストエッセイでした。
就職する時、先生であるイラストレーターの安西水丸さんに相談すると、「もうここまでやりたいことが決まっているなら、フリーランスになっちゃえば?」と言われました。「いきなりフリーランスになっても、自分一人分くらいなら食べていけるかな?」と思い、みんなが就職活動をしている頃に、私は持ち込み活動をしていたんです。
例えば、雑誌の写真に自分のイラストをはめ込んでページサンプルを作ってみたりしていました。雑誌『オリーブ』の写真に自分のイラストエッセイをコラージュしたものなど、それらをファイルにして、編集部を10誌くらい回りました。
(オンラインインタビュー時には、画面で実際にファイルを見せていただきました!)
商業イラスト作家としてのデビュー作は、ベネッセコーポレーションの保護者向けの冊子の小さいカットでした。
他には、Jリーグ開幕の年にサッカーのルール説明の絵を雑誌に描いたり、女の子向けの雑誌のカット描きをしたりしていました。
──杉浦さんの書籍を購入すると、「マーマリングトーク」という小さな新聞のような広告が入っていることが多いのですが、これはかなり以前から作られているのでしょうか?
杉浦さん 「マーマリングトーク」は、仕事を始めて1年目の時に作り始めたんですよ。この頃全然仕事が不安定で、どどーっと仕事がきたかと思うと、2週間くらい全く仕事が来ない、といったこともありました。そのちょっと不安定な頃に、うつうつとしている自分を変えたくて、新聞を出し始めたんです。
それを月に1度作り、仕事で知り合った編集さんに送ったり、好きな雑貨屋さんに置かせてもらったりしていました。今はもう閉店してしまっているのですが、代官山にある「ポップチューン」というレトロな雑貨を扱っているお店に置かせてもらっていたら、「展覧会しない?」と言ってくだり、初個展に繋がったんです。そこから道が開けていきました。
──書籍としての出版は 1998年の『絵てがみブック』が最初だと伺っているのですが、どのようなきっかけがあったのですか?
杉浦さん 当時は個展のために書き下ろしたイラストエッセイが40点くらいあり、ファイルにして持ち歩いていたんです。カット描きを沢山していたので、お仕事で会う編集さんに見ていただいて。その中でひとりの編集さんが、私の本を「作りたい!」と言ってくださって……デビューして5年目、26歳の頃の話です。
作品を詰め込んだ持ち込みファイルがカット描きの仕事へ、自作のミニ新聞が初めての個展へ、そしてその作品を持って回った先には初めての本。コツコツと続けてきたことが、杉浦さんを次へのステップへと押し上げていきます。
ものすごく出不精だから、出かけた時の楽しみ方が尋常じゃない
続いて、秋に発売された『ニュー東京ホリデイ』について伺いました。17年前に第1弾を出版以後、ずっと2作目を出したかったと言う杉浦さん。
杉浦さんの本は、描かれている場所への愛情や想いを強く感じるのですが、執筆にはどんな裏側があったのでしょうか?ここでは、意外な一言が飛び出しました。
──この『ニュー東京ホリデイ』に掲載されている場所は、普段からよく行かれているところが多いのですか?
杉浦さん それがそうでもなくて。私、ものすごく出不精なんですね。職業柄一日一歩も外に出ない日も結構あるし、家にいるのが苦ではないので、楽しくやってはいるのですが。
普段こもっている反動で、出かけた時の楽しみ方が尋常じゃないと言われることが多々あります(笑)。たまにの外出なので、すごく貪欲になるのかもしれません。「楽しみ尽くす!」という思いが強くて、パワー全開になるんです。
──杉浦さんの作品は、イラストがすごく詳細に描かれている印象です。例えば、表参道のガレット屋さんのページでは、壁紙まで詳細に描かれていたり……。行ったことがない人でも、まるでお出かけしたような気分が味わえるのですが、実際にこういう絵は、行った場所でスケッチをされているのですか?
杉浦さん 取材当日は、お店の方にことわり、写真を撮影させてもらうだけで、スケッチはその場ではせず、メモもそんなに取らないんですよ。あまり取材っぽくならないように、普通に友達と散歩するような気分を心がけています。
持ち物もなるべく身軽にしていて、携帯と、パンフレットを挟む小さいファイルくらいです。味や値段をメモしたいときは、スマホにメモを取ることが多いです。
あくまでも「お散歩気分」を大事にされている杉浦さん。取材のアポイントメントも事前には取らず、臨機応変に直接自分で話しかけてお願いしているそう。
──「お散歩」された後はどのように作品にしていくのでしょうか。
杉浦さん 私イラストレーターなのに、想いや、考え事をする時には、文章で打ちたいんですね。なので、取材から帰宅後には忘れないうちに、パソコンで感想や想いを打ち込みます。
イラスト作画にはコピックというカラーマーカーや水彩絵の具を使っています。『ニュー東京ホリデイ』だと、冒頭の東京駅のイラストはコピック、浅草や下町などの雰囲気を表現したい部分には水彩絵の具、と使い分けています。街の雰囲気に合わせたり、常に新鮮な気持ちで取りかかれるように、画材を変えるようにしています。
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