生きていれば辛いことや傷つくことにたくさん直面しますが、なかにはいつまでも癒えない心の傷=トラウマとして残り続けることもあります。なかでも幼少期に背負ったトラウマは、就学・就職から寿命まで、人生のあらゆる局面に影響するとのこと。子育て中の方には見過ごせないトピックだと思いますが、かつて「子ども」だった私たち大人にとっても他人事ではないでしょう。

では、子どもと大人のトラウマは何が違うのでしょう?『子どものトラウマがよくわかる本』では、子どものトラウマの原因や特徴、トラウマを背負った子どもの見抜きかた、トラウマの癒しかたなどが詳細に書かれています。トラウマは「思い出したくないような体験」がもたらすもの。意図的に隠されたり、その影響が過小評価されたりすることもあります。今回は本書の一部を抜粋して、侮ってはならないトラウマの影響力をお伝えします。

 

「トラウマ」は、過酷な体験によって生じる心の傷。

その影響は子どもの日々の様子や行動に現れます。

ここに示すような様子がみられる子どもは、周囲には「困った子」とみられがちですが、子ども自身、自分ではどうにもならずに困っています。

 

●友だちとトラブルばかり
●大人に対して反抗的、挑戦的な態度が目立つ
●落ち着きがない
●感情のコントロールができない
●極端なこわがりに
●いつも投げやり、否定的
●ぼーっとしていることが多い
●拒食や過食に

災害や事故など、衝撃的な出来事に遭遇したあと、子どもの様子に変化がみられれば、出来事と子どもの状態との関連は見出しやすいものです。

一方で、家庭内での虐待や過去の性被害など、傍目にはわかりにくい出来事が子どもの心に傷を残す原因になっていることもあります。

困った行動や気がかりな様子がみられる子どもには、「トラウマがあるのかも?」という視点をもち、かかわっていくことが必要です。