夢中になれるドラマを絶賛探し中のあなたへ、お届けしている“はせともドラママッチング”。それは、好きなドラマのタイプ別に次にハマれるドラマを、テレビから配信系までカバーするコラムニスト長谷川朋子が独断と偏見でオススメするもの。
今回は、朝ドラウォッチャーにおすすめしたい、世界中で大ヒットの『クイーンズ・ギャンビット』をご紹介します!
Netflixリミテッドシリーズの最高傑作と言われているのが『クイーンズ・ギャンビット』です。天才チェスプレーヤー女子、ベス・ハーモンが腕一本で男性だらけのプロの世界でトップに上り詰めていく―。そんなウーマンエンパワーメント炸裂のストーリーが日本でも世界でも話題になりました。レトロファッションで表現されるベスのプライドは、朝ドラ史上最強ヒロイン『カーネーション』の糸子のそれと重なるものがあります。女優魂が光るドラマであることも共通点。見て損はなし!と言い切れる作品なのです。
ウーマンエンパワーメント炸裂作品の主役は女優アニャ・テイラー=ジョイ
Netflixの超人気シリーズ『クイーンズ・ギャンビット』の主人公ベス・ハーモンは、NHK連続テレビ小説『カーネーション』で尾野真千子が演じた糸子とどことなく似ているような気がしてなりません。女の生き方を描く朝ドラの中でも異色のヒロイン。結婚しようが、子どもができようが、ファッション道を極める姿には女の「ザ・自立」が詰まっていました。「男は仕事、女は家庭」の時代も重なり、そんな中でも何ら迷うことなく天才チェスプレーヤーとして才能を発揮していくベスも、糸子のような「イケメン女子」度が高いからです。
Netflixの朝ドラ版とも言えそうな『クイーンズ・ギャンビット』はその人気っぷりも遜色なし。Netflixリミテッドシリーズ史上最高の数字をたたき出し、配信開始から28日間で世界2億人いるNetflixユーザーのうち、6,200万人が視聴しています。92の国でトップ10入りを果たし、イギリス、アルゼンチン、イスラエル、南アフリカなど63の国でランキング1位を獲得しました。日本でも超オススメ作品のひとつに挙げる人も多いはずです。
人気の理由はベスを演じた女優アニャ・テイラー=ジョイがまさに「イケメン女子」を演じきったことに尽きます。孤児院育ちの孤高の天才が、薬の依存症に悩まされながらも、ひとたびチェスの駒を動かせばスターダム街道一直線。王道のヒーロー物語としても成立しそうですが、男性一色のチェス業界でイケメン女子が打ち負かす話にしたことで、ウーマンエンパワーメント要素を見事に開花させました。
たとえフェミニズム離れの女性でも生き抜くヒントをもらえる台詞もたくさんあります。そのひとつが、ベスが昔、母親から言われたこの言葉。
「男たちは色々教えたがるが、賢いわけではない。自分を大きく見せたいだけ。自分の思うままに進めばいい」。
主張が強い台詞ではあるものの、視点を変えれば、見える世界が変わるということを意味しています。おひとりさま適正の高いベスに気づきを与える言葉にもなっています。
最終話のベスの白コーデ衣装にも意味を持たせる拘り
ただでさえ、わかりやすいストーリーに加えて、勝負師の孤独と葛藤を顔面演技でぶつけるアニャの女優魂にも脱帽です。数あるチェスの対戦シーンも、表情の変化を見ているだけで楽しめてしまうほど。チェスのルールがわからなくても問題なく見れてしまうことを保証します。
アニャをはじめ、芸達者な役者たちの圧巻の演技力に加えて、半端ないディテールへの拘りも見どころです。50~60年代のアメリカを舞台に、セットや小道具、衣装に時代感があふれ出ています。なかでも、ベスのファッションにご注目。歴史もの衣装デザインに定評のあるガブリエル・ビンダーが手掛けたベスの衣装ひとつひとつに成長の変化を見せているとか。チェス道に夢中になっていることはチェッカーボード柄のファッションでも明らか。最終話でベスが着た帽子もコートも白で全身コーディネートしたのもしっかりと意味を持たせています。ネタばれはしませんが、最後まで見たら、それは納得です。
『クイーンズ・ギャンビット』こだわりの衣装をチェック
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1シーズン全7話できっちりすっきり完結するので、ちょっと長めの映画を見る感覚で無事ゴールできるのもリミテッドシリーズならではの良さです。ただし、「もうちょっとアニャが見たい!」と、アニャ中毒にかかるかもしれません。そんな方に朗報です。『クイーンズ・ギャンビット』のクリエイター、スコット・フランクと再び組んで、ロシア文学の巨匠ウラジーミル・ナボコフの小説「カメラ・オブスクーラ」を映像化する作品に出演することも発表されています。出世作となった今、出演オファーが相次いでいるそうなので安心してください。
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