守りたいものと捨てなければいけないものがある

シム・ウンギョンが日本での活躍の裏で、手放したことと忘れない信念【2021年前半人気インタビューBEST5】_img5
 

日本でのこれまでの1年余りの活動は、そのまま渚がすごした1年間と重なる部分もあり、そして「渚の成長は自分の成長」と語ります。観客の解釈に委ねる映画のラストを

シム:誰にでも、守りたいものと捨てなければいけないものがあって、その上で人間は新たな道を進んでいくしかない。

と理解したと答えるシムさん。そんな答えにも、女優としての眩しい成長が感じられます。

 

シム:もっと成功したい、有名になりたいという気持ちが強くあった20代前半の頃は、他の役者さんが大きく見えて、「私はどうしてこんなにちっぽけなんだろう、このままで大丈夫かな」と悩み、「私も他の人達と同じようにやったらいいのかな」と考えたりもしました。それでもきっと悪くはなかったと思うけれど、結局、自分が年を重ねてもお芝居を続けていきたいなら、嫉妬や欲心を捨てて、信念を守っていくべきだと思うんです。自分が役者として何を求めていくのか、なんで演技という仕事をするのか、それを自分の心に留めていかないと。お芝居って本当に難しいし、迷ってしまうし、わからなくなっちゃうから。

もちろん、嫉妬や欲があっても悪くはないと思います。でも、「私だって」「悔しい」と思いながら演じていたら、楽しくは演じられなくなるのがお芝居だと思います。それがやっと分かってきたんです。謙虚な気持ちをずっと忘れずに、お仕事に望みたい。ピュアな気持ちでお芝居に向きあいたい。そうすれば、自分の信念、真心をお見せすることができるんじゃないかなと思います。

シム・ウンギョンが日本での活躍の裏で、手放したことと忘れない信念【2021年前半人気インタビューBEST5】_img6
 

シム・ウンギョン(沈 恩敬)
1994年5月31日生まれ、韓国出身。『サニー 永遠の仲間たち』(11/カン・ヒョンチョル監督)では主人公・ナミの高校時代を演じて注目され、70歳の老女が20歳に若返るコメディ『怪しい彼女』(14/ファン・ドンヒョク監督)では百想芸術大賞映画部門最優秀主演女優賞はじめ数々の女優賞に輝いた。そのほか韓国での主な出演作にヨン・サンホ監督作『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)、「サイコキネシス -念力-」(18)など。日本でも『新聞記者』(19/藤井道人監督)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、毎日映画コンクール女優主演賞などを受賞、『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(19/箱田優子監督)でも高崎映画祭最優秀主演女優賞を受賞するなど、まさに飛躍の一年となった。待機作に、ミュージカル「消えちゃう病とタイムバンカー The Vanishing Girl & The Time Banker」(4/6〜@東京芸術劇場プレイハウス)が控える。

<映画紹介>
『椿の庭』
4月9日(金)、シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー


サントリー、資生堂、TOYOTAなど数多くの広告写真を手がける日本の巨匠写真家・上田義彦が、構想から15年の歳月をかけた渾身の一作。
草木を愛でながら、長年住み続ける家を守る絹子を演じるのは日本映画界を代表する女優・富司純子。絹子の娘の忘れ形見である孫娘の渚をシム・ウンギョンが演じる。

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映画『椿の庭』より。©2020“A Garden of Camellias” film partners

<ストーリー>
かつて夫と語り合い、子供たちを育てた家に、今は孫娘の渚と住む絹子。夫の周忌を終えたばかりの春の朝、世話していた金魚が死に、椿の花でその体を包み込み土に還した。命あるものはやがて朽ちる。家や庭で起こる些細な出来事、過去の記憶に想いを馳せ慈しむ日々の中、ある日絹子へ一本の電話がかかってくる……。

富司純子 シム・ウンギョン
田辺誠一 清水綋治
内田淳子 北浦 愛 三浦透子 宇野祥平 松澤 匠 不破万作
チャン・チェン(特別出演)
鈴木京香
監督・脚本・撮影:上田義彦

製作:ギークピクチュアズ/yoshihiko ueda films/ユマニテ/朝日新聞社
配給:ビターズ・エンド 制作プロダクション:ギークサイト
2020年/日本/128分/5.1ch/アメリカンビスタ/カラー
©2020 “A Garden of Camellias” Film Partners

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撮影/Junko Yokoyama( Lorimer management+ )
ヘアメイク/伏屋陽子(ESPER)
取材・文/渥美志保
構成/川端里恵
 
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