効いているのかもしれないし、効いていないかもしれない
ただし、「十分科学的な根拠がない」というのは、必ずしも「無効である」ことを意味する訳でもありません。
もしかすると本当に効いているのかもしれないし、でも効いていないかもしれない。それが「分からない」ということを意味しています。
では、なぜ医師は有効性も分からない薬を出すのでしょうか。
少なくとも薬に「治癒を早める」ことを期待しているわけではありません。医師が薬を出す理由は、薬を飲んでいる間、薬が症状を軽くしてくれる可能性を期待しているから、です。
実際に、風邪薬を飲んで、症状が軽くなったという経験をした人もいるでしょう。それこそが風邪薬を飲む理由です。逆に言えば、症状が軽いうちから「予防で」飲む意味はないということです。
また、「いろんな薬を出してくれるお医者さんがよいお医者さん」では必ずしもないということも知っておいてください。
風邪で病院にかかり、たくさんの薬をもらうことに慣れた人にとっては、薬を一種類だけ出す医師は「悪い医師」に感じられるかもしれません。でも、実際にはそうではありません。
多くの内服薬は、ワクチンよりも高い確率でアレルギーやアナフィラキシーを起こす
忘れてはいけないのは、どんな薬にも必ず副作用があるということです。
新型コロナワクチンに関連して、ワクチンの副反応についてはとても有名になりました。新型コロナワクチン同様、例えばどんな薬にもアレルギー反応やアナフィラキシーを起こすリスクがあります。
今回のワクチンでだけアレルギーのリスクを重く捉えている方がいれば、それは大きな間違いといえるでしょう。多くの内服薬は、今回のワクチンよりも高い確率でアレルギーやアナフィラキシーを起こすことが報告されています。
また、アレルギーの他にも、多くのかぜ薬で用いられるイブプロフェンならば、飲みすぎると胃や腎臓に障害を受ける可能性があります。
「総合感冒薬」に含まれる抗ヒスタミン薬には、眠気やだるさという副作用があります。私自身も医師として、総合感冒薬を飲み続ける、風邪の患者さんが「だるさが治らない」と受診し、薬を中止したことで治ったという場面を何度もみています。治すために飲んでいるつもりだった薬で、体調を悪くした事例です。
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