ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考える連載です。今回は、44歳で10歳年下の彼と交際3日で結婚したハルさんにお話をお伺いしました。

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右からハルさん(仮名)49歳、一生さん(仮名)39歳。ハルさんは41歳で一念発起し九州から上京。趣味を通じて出会った、10歳年下の一生さんと44歳で結婚。

44歳で10歳年下の一生さんと結婚し、彼の夢を叶えるために静岡に移住したハルさん。

一生さんと出会う前は恋愛で「重い女」になってしまい、ことごとく上手く行かなかったので、コーチングのカウンセリングに通ったことは前々回でお伝えした通り。

 

ハルさん:カウンセリングのほかにも、引き寄せの法則とか心理学の本やブログを読みまくりました。それで気が付いたのは、今まで自分で自分を嫌いだったということ。だから恋愛相手にも愛されなかったのか〜、と思いました。


常に他人のことばかり気にかけたりお世話していた彼女は、自分を愛して最優先するところから始めたそう。そうすると、自分に優しくすればするほど、周りの人たちも優しくしてくれるようになったのです。

ハルさん:それまで飲んでいた鬱病の薬も飲むのをやめました。一生さんに出会ったのはその頃で、そこから、彼との相性が良かったこともあって精神的に安定し始めたんです。今まですぐに不安になったりヒステリーを起こしていたのは何だったんだろう、というくらい。


自分が変わったと感じるのは、一生さんに対してヤキモチを焼かなくなったこと。

現在カメラマンとして活動している一生さんが撮影でモデルとふたりきりで出かけると聞いても、以前なら不安になってしまっていたのが、今は「仕事のチャンスじゃん。行って来なよ!」と快く送り出せるようになったそう。

ハルさん:それは、自分に少しずつ自信が持てるようになったというのもあるし、彼がすごく真面目で、私を安心させてくれるから。


静岡に移住したタイミングでハルさんが看護師の仕事をもう続けたくないという気持ちを受け入れてくれたのも、その安心感に繋がっている様子。ハルさんの気持ちをいつも尊重してくれる夫の存在があるから、今では躊躇してしまっていた、自分の意見を主張するということが出来るようになったのですね。

そんな一生さんに対して、ハルさんも何事につけ、彼がやりたいことには反対せずに「やってみれば」と言うようにしています。

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ハルさん:もし私が看護師を続けて借金を返したとしたら、自分が犠牲になったと感じてしまっていたと思うんです。だけど彼は私の自由にさせてくれた。だからこそ、私も彼のやりたいことを応援できるんですよね。これはコーチングで学んだことなんですが、自分が相手に望んでいることって、本当は自分が自分に求めていることなんですって。「あれもして欲しい、これもして欲しい」と相手に求めるばかりになっているときってつまり、自分が自分にブレーキをかけて我慢している状態。今は自分が好きなことをさせてもらっている分、夫に対して求めなくなったし、優しくなれるんです。


これ、すごくわかるなぁ。我慢しながら相手に合わせたり尽くすくらいなら、自分の気持ちを優先して動いた方がいい関係性が築けたりするんですよね。なぜなら我慢がイライラになって、「私はこんなにやってるのに、あなたはしてくれない」と無意識に見返りを求めるようになってしまうから。

よく心理学などで言われる、「欲しかったら自分が先に与える」は、こういうことでもあるのかなと思います。

さかい:ではハルさんは結婚して良かったと思いますか?

ハルさん:そうですね。ケンカすることもあるけど、ひとりよりふたり、という安心感は大きいです。辛いことがあっても楽しいことがあれば忘れられる。夫婦で居るということのいい面に目を向けるようにしているのもあるかもしれません。

さかい:年下の旦那さんということで感じることって何かありますか?

ハルさん:私の場合、年上の男性よりも年下の方が安心して素を出せるんです。「完璧で居なきゃ」という変なプレッシャーもないし、向こうも甘えてくれるから、こちらもすごく甘えられる。一緒に居ると向こうの方が年上のように感じることもありますし、特に年齢のギャップで「え〜」と思うようなこともありません。


取材していて気づいたのは、ハルさんが「安心感」という言葉を何度も口にしていたこと。

恐らく彼女がパートナーにいちばん求めていたのは「安心感」だったのですよね。だから、田舎に移住してお互いに収入が減り借金があるという、世間的に見たら経済的・物質的には不安定な状態でも、安心感を得られる今の結婚生活に心から満たされている。

結局、結婚に何を求めるかって人それぞれで、他人と比べることに意味なんてない。年齢や収入のような「数字」で結婚相手を選ぶより、自分が本当に欲しいものは何なのか。そこにフォーカスするのが、幸せな晩婚の近道なのかもしれません。

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 

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