ジェンダーバイアスから解放されて楽になるのは「男」


ということで、ここに至って妻たち発達系女子と家庭運営をする中で避けられない「働いてくれない」「家事をしてくれない」にまつわる不公平感やいらだちといったネガティブな感情は、ようやく僕の中から解きほぐれ、ようやく楽になることができた。

とはいえ周囲の男性と話して比較する限り、これでも僕はもともと「女性のロール意識」が薄かったほうで、元々考えもフェミ寄りではあるし、僕のようにすんなり「改宗」できる男性ばかりでないことは分かる。染みついた「女はこうあるべき」を改宗するのが難しい定型パートナー男子も少なからずいるだろう。

「発達障害で家事力のない妻」を抱えた「ワンオペ・モラハラ夫」が世間から褒められてしまう理由とは_img1
 

そうした読者には、4つのことだけ伝えたい。

 

(1)まず、社会にこびりついてきたジェンダーロールは、僕らが愛する発達系女子に対して大きくマイナスに働き、彼女たちはロールの被害者になり続けてきた可能性が高いこと。

(2)パートナー男性がそのロールに縛られ続ければ、その男性は発達系女子を加害してしまう立場に容易になり得てしまうこと。

(3)ロールの呪いによって、パートナーの発達系女子の良い部分がどんどん見えなくなってしまいがちなこと。

(4)ロールの呪いから解かれることは、日々のストレスを劇的に減らして双方楽になるという意味で、発達系女子と生きるために最も戦略的だということ。

どうだろう。これは大事に思うパートナーを被害的立場に追い込まないことと、自分が抱えているジェンダーバイアスと、どちらが大事かという問いだ。

誰が定めたかも分からない息苦しいロールからもバイアスからも解放されることで、発達系女子も僕らパートナーも、どれほど生きていくうえでのストレスを減らすことができるのか、是非味わってみて欲しい。多分、この呪いから解放されて楽になるのは、僕ら男の方かもしれない。
 


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「発達障害で家事力のない妻」を抱えた「ワンオペ・モラハラ夫」が世間から褒められてしまう理由とは_img2
 

『発達系女子とモラハラ男 傷つけ合うふたりの処方箋』(晶文社)
鈴木大介:著
いのうえさきこ:漫画

シリーズ第1作『されど愛しきお妻様』(講談社)と電子コミックス『されど愛しきお妻様』(漫画:上田美和、講談社)で多くの「ふたり」が涙した鈴木家の物語、感動の最終章! 好きで一緒になったのに「ふたりが生きづらい」と思ったら読んでください。


構成/露木桃子
この記事は2021年4月26日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。

 

第1回「働かないし家事もしない引きこもり。発達障害の妻をどんな人にも自慢できるようになるまで」>>

 
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