「生理用品を軽減税率の対象に」という署名活動から生まれた団体「#みんなの生理」。現在、すべての人の生理に関するニーズが満たされ、どんな人でも自分らしく暮らせる社会を目指して、さまざまな活動を行っています。
そこで今回、「#みんなの生理」の共同代表を務める谷口歩実さんに、団体の原点である「生理用品を軽減税率対象にするための活動」について伺いました。
サプリメントは税率8%……なのに生理用品は税率10%
谷口さんが「#みんなの生理」で署名を立ちあげたきっかけは、2019年に卒業論文のテーマに日本人大学生の月経を選んだことにはじまります。
生理をテーマにした理由は、周りでも社会でも、これまでまったく生理についての話がされていなかったから。議論されないことに興味をもち、光を当てたいと思ったそうです。
「卒論のために周囲の友人たちにインタビューをしたところ、日用品の購入はバイト代や実家からの仕送りでやりくりしている学生が多く、『毎月の生理用品に対する出費が痛い』と思っていることがわかったのです。
そのときは『生理用品が買えない』という人はほぼいませんでしたが、『この出費をできれば教科書や貯金などの自己投資に充てたい』という声がたくさん寄せられました」
そのころは、ちょうど軽減税率がスタートするタイミング。谷口さんは、「なぜ、生理用品は軽減税率の対象ではないの?」と疑問に思ったそうです。
軽減税率の対象になっているのは、酒類以外の飲食料品と新聞。医薬品や医薬部外品などは「食品」ではないため対象外ですが、栄養機能食品、健康食品、美容食品は税率8%。つまりダイエットや美容のためのサプリメントは8%税率なのに、必需品である生理用品は10%のままなのです。
「そこで2019年に、『生理用品を軽減税率対象に!』というオンライン署名キャンペーンをスタートしました。
最初は1人で活動していましたが、それだとできることには限界があります。そう思っていたころ、賛同してくれる友人たちが周囲にいたので、2020年2月に『#みんなの生理』という団体名で活動を始めました」
谷口さんたちの活動は主に3つ。
1つ目は、生理用品の軽減税率化と学校のトイレに生理用品を置いてもらうための要望活動です。
2つ目は、生理について話すための場所を創出すること。
「今まで、私たちは生理について話す機会がほとんどありませんでした。けれども活動を通じて、『話したい!』と思っている人がたくさんいることを知ったのです。
みんなで生理について語り、それぞれの生理を知ることで、自分の身体を知ることにつながることもわかりました。ですから、『生理について語る』ことには、大きな意味があると考えています」
3つ目は、生理に関する情報の収集と発信です。
「日本にはこれまで、生理に関するデータが集められていませんでした。他国には、何人に一人が生理に関する悩みを抱えているかなど、しっかり調査されています。
そこで自分たちでアンケートをとって調査し、その結果を社会に発信しようと考えたのです」
【写真】大学生が集まってはじめた署名活動
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