すべての人の生理に関するニーズが満たされ、どんな人でも自分らしく暮らせる社会を目指して活動を続けている団体「#みんなの生理」。
活動のきっかけになったのは、生理用品が軽減税率の対象になっていなかったことでした。
今回は団体の発起人である谷口歩実さんに、最近話題になっている「生理の貧困」のリアルについて伺います。
コロナ禍でさらに悪化した、わが国の「生理の貧困」問題
コロナ禍によって非正規雇用の女性たちが経済的困窮に追い込まれるなか、「生理の貧困」が話題に上ることが多くなりました。
この「生理の貧困」という言葉、皆さんはご存知でしょうか?
経済的理由などから生理用ナプキンやタンポン、月経カップなどが充分に購入できないことをさしています。
2015年頃からアメリカやイギリスで問題視されはじめ、2019年に世界中で話題にのぼるようになりました。
そして2020年11月には、スコットランドの議会で生理用品の無償配布が決定したのです。
「プラン・インターナショナル・ジャパンが実施した『日本のユース女性の生理をめぐる意識調査結果2021』によると、生理用品にかかる1ヶ月の費用でもっとも多かったのが300円〜700円。幅はありますが、年間3600円から8400円ほどかかっていることになります」(谷口さん)。
月経のある期間中、女性たちはこの金額を数十年間も支払うことになり、しかもここには、痛み止めや低用量ピルなどの薬代、婦人科の診療費は含まれていません。
「そこで私たちは、コロナ禍における日本の『生理の貧困』の実態を明らかにすべく、SNSで協力を呼びかけてオンラインアンケート調査を実施しました。
その結果、『金銭的理由で生理用品を買うのに苦労した』と答えた学生が27.1%にのぼったのです。さらに、『生理用品を交換する頻度を減らした』と答えた割合は、37.0%でした」(谷口さん)。
実際、谷口さんたちのもとには、「生理用品の上にトイレットペーパーを置いて、交換する頻度を減らしている」「長時間同じナプキンをつけている」という声が、多く寄せられているそう。
「健康や衛生上の問題だけでなく、こうした不快な状態で居続けなければならないという状況は、その人の尊厳に関わるもの。つまり人権問題として重要な課題だと考えています。
今回のアンケートは高校生や大学生を対象に行ったものですが、30代以上の女性からも、生理用品の購入に困っているという声が寄せられているのです」(谷口さん)。
さらに、過去1年以内で生理が原因で学校を休んだり、早退・遅刻したりしたと答えた若者の割合は48.7%。運動を含む活動を欠席した割合は47.4%でした。
その原因の多くが「生理痛など生理による体調不良」です。
「こうした不調を軽減する低容量ピルの使用には、金銭的負担や偏見という壁が立ち塞がっています。『収入が減ってピルが買えなくなった』『避妊のために使うもの、というイメージが強いらしく、親からあらぬ疑いをかけられた』という声が多いのです」(谷口さん)。
【写真】大学生が集まってはじめた生理の活動
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