「生理=異性の前で話してはいけないもの」にした性教育

 

早ければ小学校3年生と初潮の低年齢化が進んでいる今、「生理をはじめとする性教育が小学校4〜5年生では遅すぎる」という意見が多く聞かれるようになりました。

 

「たった30分〜1時間足らずの授業で、生理について理解できるかというと、なかなか難しいでしょう。結局、日本の性教育は、家庭に任されているのが現状なのです。

私たち若者も含め、これまで『生理』という言葉を気軽に口に出せない空気がありました。この活動を始めてからは、毎日のように『生理、生理』と口にしていますが(笑)、高校時代は『アレがきた』とか『女の子の日』などと、ほかの言葉に言い換えていた。
その理由のひとつに、性教育が男女別々にしか行われてこなかったことがあるのではないでしょうか。

というのも、男子、女子と振り分けられてしまうことで、『これは、異性の前では触れてはいけないことなんだ』というマインドセットをつくってしまうから。さらに、男性が生理に関する正しい知識を得る機会を、奪ってしまうことにもつながります」(谷口さん)。

そのためせめて一度は、クラス全員で生理について学ぶ機会があるといい、といいますが、それには課題もありそうです。

「大勢の前で自分の身体について学ぶことに抵抗がある人もいるでしょう。ですからその後、プライバシーが保たれた環境で生理や性について学ぶ時間を設けると理想的。
安心して自分の身体と向き合う、きっかけになるといいですよね。

内容も月経という身体の仕組みだけでなく、『生理中は、体調がすぐれないことがある』『あんまり辛かったら、病院に行っていい』『低容量ピルという薬がある』といった、生理を経験するうえで、より実践的で具体的な情報を伝えるべきだと思います」(谷口さん)。

現在、性犯罪や性暴力対策として、文部科学省により「生命の安全教育」が推進されています。

「できればこの新たなカリキュラムの中に、生理を含めた包括的な性教育を盛り込んでもらえたらいいな、と考えています。
私たちが目指しているのは、すべての人の生理に関するニーズが満たされ、どんな人も自分らしく暮らせる社会。今後は、その実現に向けた教育の整備を、文部科学省や厚生労働省に訴えかけていく予定です」(谷口さん)。

 

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谷口歩実
1998年生まれ。大学ではジェンダー・セクシャリティ研究と教育学を学ぶ。在学中だった2020年に「#みんなの生理」を立ち上げ、共同代表に就任。現在、「生理による不平等、生理における不平等をなくす」ための活動を精力的に行っている。

取材・文/萩原はるな
構成/片岡千晶(編集部)

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