NHK連続テレビ小説(以後、「朝ドラ」と呼ばせていただきます)の新作『おかえりモネ』がついにスタートしましたね。朝ドラウォッチャーの筆者は今、ヒロインのまっすぐさと演者である清原果耶の透明感をしっかり味わおうと前のめりになっています。スタート直後で早計かもしれませんが、本作のヒロインからは強烈な「純真」の匂いがするからです。

 


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コロナ禍に見たいのは心安らぐヒロイン


ほとんどの朝ドラが女性(たまに男性)の成長や立身出世を描いているせいか、主人公は堅実な努力家というのが定石。これが10代の若いヒロインになると純真という言葉がぴったりのキャラになるのですが、そのさじ加減は千差万別です。どんどん周りを巻き込んでいくパワフルなタイプもいれば、控えめなコツコツタイプもいます。前者の場合、その熱量高めなところが「ウザい」とか「ぶりっこ」とか、ネガティブに捉えられてしまうこともありました。

実のところ、筆者も20代の頃は朝ドラヒロインがちょっと苦手でした。あまりにもできすぎた愛されキャラに嘘くささを感じていたんですね。加えて、当時は演技経験があまりない新人がヒロインを演じるケースが多く、その初々しい芝居のせいで嘘くささに拍車がかかっていた、というのもあると思います。

自分が年を重ねて丸くなったのか、はたまた風の時代に突入したせいか、近ごろはこの朝ドラ的純真さに対してネガティブな感情がなくなりました。実際には見たことも聞いたこともないような良い子だったとしても、受け入れる準備はできています。だってドラマは心象風景。現実ありのままの姿ではなく、視聴者が見たいと思うものを映し出す鏡なのですから。そういう意味では、コロナ禍で人々の心がささくれ立っている今こそ、心安らぐ純真が求められているのではないでしょうか。

演技力には定評のある清原果那。2019年度前期のNHK連続テレビ小説「なつぞら」では、主人公の妹・千遥役で第44回エランドール賞新人賞を受賞している。写真:アフロ

困難に直面した人々の心をつかんだ『おひさま』とNiziU


そこで思い起こされるのが、2011年度前期の朝ドラ『おひさま』です。戦前から戦後にかけてごくごく平凡な女性が前向きに生きる姿を描いた本作は、病気や死といった苦難よりも登場人物たちが劇中で表現する「優しさ」で毎回のように視聴者を大泣きさせるという前代未聞の意欲作でした。

 
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