最近よく耳にするワード「LGBTQ+」って知っていますか? 知っている人、知らない人、もしくは当事者のアナタへ。 いまさら聞けない「LGBTQ+」の基礎知識について「カミングアウト」をテーマにお伝えします。


LGBTQ+って?


「LGBTQ+」はさまざまな性の在り方を表現したワードです。

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書籍『マンガでわかるLGBTQ+』(パレットー ク:著)より

L…(レズビアン)女性として女性に恋愛感情や性的欲求を持つ人
G…(ゲイ)男性として男性に恋愛感情や性的欲求を持つ人
B…(バイセクシュアル)女性に対しても男性に対しても、恋愛感情や性的欲求を持つ人
T…(トランスジェンダー)生まれた時に割り当てられた性別とは違う性自認を持つ人
Q…セクシャルマイノリティ(性的少数者)すべてを包括する言葉「Queer(クイアー)」や、セクシュアリティが定まっていない「Questioning(クエスチョニング)」の意味を表す
…LGBTに含まれないさまざまなセクシュアリティ(パンセクシュアル、A(ア)セクシュアルなど)を表す

LGBTQ+の割合は、日本の人口の8.9パーセント(※1)。これは左利きの人と同じくらいの割合。11人に1人は、LGBTQ+のいずれかにあたるということです。

そうはいっても、「いままでLGBTQ+の人にあった事がない」という人も多いでしょう。実際、セクシュアリティを職場の誰か一人にでも伝えている人の割合は、L/G/B/Tいずれも1割程度です(※2)

「わたしのまわりにLGBTQ+の人はいない」という空気感が、打ち明けづらい雰囲気を作ってしまっているのかもしれません。自分の身近にもさまざまなセクシュアリティの人がいる、そう意識しながら生活することが、多様性を認め合う第一歩につながります。

※1…電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2018」
※2…三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和元年度 職場におけるダイバーシティ推進事業報告書(労働者アンケート調査結果)」(厚生労働省委託事業)2020年3月発表

 


「カミングアウト」を受けるとき、するときに気を付けたいこと


ここでは、「身近な人からカミングアウトを受けたら?」を題材に、当事者たちの体験談を、書籍『マンガでわかるLGBTQ+』(パレットーク:著)からご紹介します。

カミングアウトをしたいと考えている人も、どのようにすればスムーズに伝えられるかを、考えるきっかけになるでしょう。


■身近な人からカミングアウトされたら?

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書籍『マンガでわかるLGBTQ+』より

家族や友達からカミングアウトを受けたら、まずは驚かずに最後まで話を聞いてあげてください。そして、打ち明けてくれた事実に理解を示し、受け止めてあげられたらベストですよね。

また、「へ~気づかなかった、ふつうに見えるのにね!」「大丈夫、そのうち治るよ」などの言葉は、相手を傷つけてしまうかもしれません。

冒頭で示した通り、LGBTQ+のいずれかであることは決して珍しいことではないのです。また、病気でもありませんから、治療をすれば治るという考えは誤りです。変えようと思って変えられるものではないのです。


■プライバシーを尊重しよう

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書籍『マンガでわかるLGBTQ+』より

誰であっても、そもそも人のプライベートな事を言いふらすのはNG。相手は「あなた」だから、知ってほしくて伝えたのかもしれません。善意であっても、誰かのセクシュアリティを第三者へ勝手に暴露するのは、当事者を深く傷つけてしまう行為です。時に、命に関わる危険性もあるので、絶対にやめましょう。心配なときは、「このことは誰がしってるの?」と聞いてみるのも良いかもしれません。

<何をしてあげればいいの?>
相手が何かに困っていることがあれば、「力になれることはある?」と聞いてみましょう。きっとLGBTQ+に限らず、目の前の相手が困っていれば、力になれることを探すはず。まずは家族・友人としてサポートできることから始めましょう。

<カミングアウトされたら関係がかわってしまう?>
セクシュアリティが自分と違っていても、これまで築いた関係は変わりません。「どんなセクシュアリティか」ではなく、「どんな人か」を忘れないように接して行きたいですね。

<自分のこと、好きになるかも?>
ゲイやレズビアンは、同性ならだれでも好きになるわけではありません。もし、好意を伝えられたら、相手のセクシュアリティを過剰に意識することなく、相手に対する自分の気持ちを考えてみましょう。


■カミングアウトしたい、けど……

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書籍『マンガでわかるLGBTQ+』より

自分のセクシュアリティを誰かに伝えるのはとても勇気がいることです。近い関係性だからこそ「自分のことを伝えたい」と思うこともあるでしょう。「わかってくれなかったらどうしよう」と悩んだ時、自分の気持ちと向き合って、しっかり考えておくことが大切です。

<カミングアウトのメリット・デメリット>
メリットの一つは「自分らしくいられる場所が増える」こと。でも、知られたくない人に知られてしまったり、カミングアウトした相手がLGBTQ+に理解がなかったりすると、傷つく可能性も。
信頼できる相手なのか、自分は誰にどこまでどのように知ってほしいのか、ゆっくり考えてみましょう。

<親にカミングアウトしなくちゃいけないの?>
たとえ相手が家族であっても「絶対にカミングアウトしなきゃいけない」ということはありません。だから、カミングアウトできない自分を責めたり、焦ったりしなくても大丈夫。
テレビ番組などでLGBTQ+についての話題が出た時に話を振ってみる、などからはじめてみるのも良いかもしれません。

<カミングアウトするときは>
もし誰かに伝えたいと思ったら、「誰にカミングアウトしたい?その人はどんな人?」「どうしてその人にカミングアウトしたいのか?」など、あらかじめ言語化しておくのがおすすめです。


これからの社会と多様な性の在り方


「自分らしく自由な選択ができること」は、人が幸福に生きる上で欠かすことのできない要素です。
個性に価値がやどる時代にあって、「一人一人の特性」や「性の多様性」を尊重することは、これからの社会でますます求められるようになるでしょう。

日本では、2015年に東京の渋谷区と世田谷区で、同性カップルを自治体が証明したり、宣誓の受付などができるようになったのを皮切りに、各地で「パートナーシップ制度」の導入が進みつつあります。
また2021年3月には、「同性同士が結婚できないことは憲法違反」として複数の同性カップルが国を訴えた裁判で、札幌地裁は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとして、日本で初めて違憲判決を下しました。

しかしその一方で、同5月のLGBT理解増進法案については、「差別」をめぐって審議が紛糾するなど、まだまだ理解や整備が進んでいないことも明らかになりました。

こうした状況の中、私たち個人個人にまず必要なのは、旧来のジェンダーロールにとらわれず、認識をアップデートしていくことです。

「知ること」が今をより良くする第一歩。
みんなが考えることで、社会はすこしずつ変わっていきます。
誰もが「自分らしく生きられる」世の中になるように。
まずは『マンガでわかるLGBTQ+』をきっかけに、考えてみるところから始めてみませんか。


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『マンガでわかるLGBTQ+』

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――「知らなかった」を言い訳にして、誰かを傷つける時代を終わらせ よう。イマサラ聞けないLGBTQ+のギモンに答える入門書!

<内容紹介>
最近よく聞く「LGBTQ+」ってなに?
カミングアウトされたら、どうすればいいの?
カミングアウトするときに、気をつけなければならないのはどこ?
日常生活において、どういった不都合が生じているの?
職場ではどんな質問が「ハラスメント」になるの?
なぜ、同性での結婚は認められていないの?
法律で同性では結婚できないっていうけれど、パートナーシップ制度ではだめなの?
どうしたら、みんながより快適に過ごせる環境をつくれるの?
フェミニズムとLGBTのかかわりって?

<下記のような方々にオススメです>
・「LGBTQ+」について知りたい人、もっと学びたい人
・性に関する悩みがある人、モヤモヤしている人
・生徒の教室での居心地をよりよくしたい学校関係者
・職場で無意識にハラスメントしていないか気になる上司など……

【解説:早稲田大学文学学術院 准教授 森山至貴】


<著者プロフィール>
パレットーク

さまざまなセクシュアリティやジェンダーについてのリアルな体験談を、短編マンガで届けるウェブメディア編集部。2018年から発信をはじめ、現在まで200本以上作品制作を手掛ける。
漫画でわかるLGBTQ+ / パレットーク
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Twitter https://twitter.com/palettalk_


※この記事は書籍『マンガでわかるLGBTQ+』をもとに構成しました


構成/北澤智子