女45歳、夫から離婚を切り出されたら？安野モヨコ『ハッピーマニア』続編が描く40代のモヤモヤ

「僕と離婚してください」 
衝撃的なこの言葉からスタートする『後ハッピーマニア』。
そうです、かつてドラマ化もされ大ヒットした安野モヨコさんの漫画『ハッピーマニア』の15年後を描いた続編がはじまっているのを知っていましたか？『FEEL YOUNG』で連載中で、4月24日に2巻が発売されたばかりなんです。

『ハッピーマニア』では、幸せを求めて数々の男たちと怒涛の恋愛遍歴を繰り返した末、タカハシと結婚を決めた”恋の暴走機関車”シゲカヨこと、重田加代子。そして、シゲカヨの同居人で、商事会社の人事担当・ヒデキと結婚した友人のフクちゃん。20代だった2人も『後ハッピーマニア』では45歳に。一体どんな結婚生活を送っているのだろう……と思ったら！

離婚を切り出されたカヨコは、「あたしはもう45歳なんだよっ」と夫・タカハシを殴り飛ばした勢いで家を飛び出していく。でも、「こういう時『友人宅に身を寄せた』とか聞くけど……そんな距離感の友達いないんだけど!?」。行くところはもう一つしかなかったのでした。それはフクちゃんの家。

「どこで人生を間違えたのか」。フクちゃんに連絡をとろうとしながら、新婚1ヶ月目で家出をし、今日と同じようにフクちゃんの家に押しかけた「人生間違えた日」のことを思い出すカヨコ。

新幹線で大阪に住むフクちゃんの家に行くと、ちょうどその日に、フクちゃんの夫・ヒデキが主催するホームパーティーが開かれました。ヒデキの会社の人たちが次々集まる中、カヨコはモロ好みのイケメンを発見してしまいます。
彼とこっそりいい雰囲気になり、フクちゃんの家を抜け出すも、「そうだ、帰らなきゃ」と夫・タカハシのことを思い出し、気づくと新幹線に飛び乗り帰ってきていたのでした。

自由に恋する心を捨て、夫におみそ汁を作る「普通の奥さん」としての生活を選んだその日が、カヨコの「人生間違えた日」だったのでした。

一方で、フクちゃんは主婦業のかたわらで始めた化粧品ブランドが大ヒットして、化粧品会社の女社長になっていました。夫・ヒデキとの間に一人息子がいるも、夫婦関係は冷え切っており、ヒデキには愛人がいて別居中。

実は専業主婦のカヨコと会社社長のフクちゃん、立場は違えど、夫から離婚したいと言われていること、でも、自分は別れたくないと思っている状況は同じだったのです。

カヨコがフクちゃんの家に押しかけたことで、それが判明し、2人とも現実に向き合うことに。

『後ハッピーマニア』のテーマは、40代の現実と、離婚問題。

大ヒット作品の続編って、期待はずれだったり、読む前からある程度展開が読めてしまうものもありますが、『後ハッピーマニア』は違いました。どこに行き着くのかわからない”恋の暴走列車”の疾走感はそのままに、登場人物が私たちと同じ年月を過ごしたことを感じさせる部分があちらこちらにちりばめられ、確実にアップデートされているんです。

離婚というデリケートなテーマを扱っていても、目まぐるしく展開するストーリーのスピード感や、カヨコの感情のアップダウンをコミカルに表現しているのは前作と変わらず。ただ、2人とも以前より地に足をつけた考えになっているのを強く感じられます。

また、『美人画報』を描かれていた安野モヨコさんならではの、美容小ネタがちょいちょい出てきますが、アンチエイジングに重点を置かれているのが以前にはない点。2人のルックスやファッションもアラフィフらしく変化し、ロングヘアだったカヨコはボブスタイルになって、眉毛は薄くなり眉間のシワを気にしています。

また、ヒデキとセックスレスのフクちゃんがそっち方面の欲望をどう解消しているのかへのアンサーも描かれていて、40代の性にもしっかり踏み込んでいるのは、女性のさまざまな欲望を包み隠さず描く安野モヨコ作品ならではです。

カヨコは本来、安定を望まない生粋の「ハッピーマニア」で、幸せを次々と追いかけ探求したい気質。

結婚以来、タカハシが夫婦関係の微妙なバランスを無意識のうちに保っていたのが、今回の離婚のきっかけとなる、ある人物の存在で崩れてゆきます。これは一見不幸な出来事のように思えますが、カヨコが再び、本来あるべき自分の姿を取り戻していくことにもつながっていることに気づかされるのです。
45歳になった「ハッピーマニア」はどんな幸せを見つけるのでしょうか？

今回は、夫・タカハシがなぜ離婚を切り出したのか、その理由を語る第3話が無料で読めます！

【漫画】『後ハッピーマニア』第3話を試し読み！
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