これまで、肩や腰の痛みについて説明をしてきましたが、膝関節の痛みはどうでしょうか。

私の祖母は、今はもう他界してしまいましたが、まだ元気な頃、よく膝の痛みを訴えていたのを覚えています。80歳を過ぎても一人で買い物に行く元気なおばあちゃんでしたが、買い物から帰ってくると膝が痛くなり、湿布薬などを使って痛みを抑えていました。また、膝をかばうように、買い物に出かける際にはいつも買い物カゴ付きの四輪の歩行器を使っていたことを覚えています。

あの頃は、「おばあちゃんは膝の病気があるのか」くらいにしか思っておらず、その背景についてはよく分かりませんでした。

 


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変形性関節症が歩けなくなる最大の理由


膝の痛みというのは、実は腰痛に次いで悩みを抱える人が多い症状です。そして、腰痛や肩の痛みと同様に、膝の痛みも原因は様々です。細菌が繁殖することで感染を起こして痛みを出すこともありますし、リウマチなどの病気で痛みが出ることもあります。

 

こういった様々な原因がある中で、特に加齢とともに増えるのが「変形性関節症」と呼ばれる病気です。変形性関節症は、年齢が最も強力なリスク因子であることが知られています(参考文献1)

そして、この変形性関節症こそが、高齢者が歩けなくなる理由として最も頻度の高い原因となっているのです。私の祖母の膝の痛みの原因も、おそらくこの変形性関節症だったと思います。