朝の散歩やあいさつ、してますか? 「朝の習慣」がちょっと楽しくなる、ステキな1冊をご紹介します。

コロナ禍で、モーニング・ルーティンの大切さがしみじみ分かった


コロナ禍による、不要不急の外出自粛は、すっかり日常の一部になってしまいました。
家にこもりがちで、運動不足や、体の不調を感じるようになった人も多いでしょう。そのうえ、友人にも会えないし、近隣とあいさつを交わすことさえ減った、気が付けば、今日は誰とも会話をしていなかった……なんてこともあるのでは?

実際、今年2021年に行われたインターネット調査では、コロナ禍の影響で、約6割の人が、「会話が減った」と回答しています。
さらに、「ストレスが溜まりやすくなった」が48.4%、「笑う回数が減った」が39%、「情報があまり入ってこなくなった」が30.3%と、様々な弊害があることも明らかになりました。(「コロナ禍での会話に関する調査DMM英会話 調べ)

心の安定や、自律神経の調整などに欠かせない「セロトニン」は、別名<幸せホルモン>とも呼ばれている神経伝達物質ですが、この「セロトニン」の分泌には、朝、日光を浴びる事や、適度な運動が必要なのだとか。

朝起きて、通勤や散歩で体を動かし、人に会えば挨拶をするーー外出自粛になるまでは多くの人が行っていた、ごく普通のモーニング・ルーティン。しかし、現代人の健康維持には、重要な役割を果たしていたワケです。

 


「おはよう! げんき?」と交わしあう喜び


冒頭でお伝えした通り、ここでは「朝の習慣」がちょっと楽しくなる1冊をご紹介します。
作者は、「コロボックル物語」シリーズで知られる、絵本界の巨匠・村上勉(むらかみ・つとむ)さんです。

作家・佐藤さとるさんとのコンビによる「コロボックル物語」をはじめ、数々の名作で素晴らしい挿画を手がけてきた村上さん。しかし、今回ご紹介する『おはよう! げんき? ありさんどんどんのぼったら』は、絵だけでなく文章も村上さんが手掛けている、完全オリジナルの作品です。
ひと続きのなが~い絵を「縦開き」にした構成で、さまざまな生きものたちが登場する、自然の美しさと生きる力を感じられる1冊になっています。

半世紀以上にわたり絵本を描き続けてきた村上さんですが、今回の新作に取り組まれたきっかけは、なんだったのでしょうか。

 

この絵本の刊行にあたり、村上さんは「ずっとこんな絵本をつくりたかった」と語っています。長年、構想を温めてきた作品ですが、今、世の中へ出すにあたっては、特にこだわった「ある思い」があったそう。

◆村上勉さんコメント◆
「今は特に、みんなに元気が必要な時期。
そして、どんなに大変なときでも、身近なところには、おどろくほど豊かな世界が広がっています。
この自然の生きものたちと一緒に、元気に生きていこうという想いを込めて、たくさんの生きものをひとつひとつ描きました。
ありさんと生きものたちのやり取りや、『おはよう! げんき?』というタイトルにもその想いを込めています。」

 

縦開きのページをめくるたび、鮮やかな植物の緑、画面いっぱいに書き込まれた生きものたちの姿が目に飛び込んできます。
緻密に描かれた生きものたちはすべて、村上さんの手描きによるもの。躍動感にあふれた姿からは、村上さんの「自然の生きものたちと一緒に、元気に生きていこう」というメッセージが伝わってきます。

地面から出発したありさんが、たくさんの生きものたちと出会い、
「おはようありさん!」
「おはよう!」
と、あいさつを繰り返しながら、どんどん登っていく姿に、元気をもらえること、間違いなし!
ラストの見開きに登場する、大輪のひまわりと生きものたちのすがたは圧巻です。(ぜひ、手に取ってみてください!)

まだまだ、遠くへ外出するのはむずかしい状況ですが、朝起きたら、お日様の光を浴びて、「おはよう!げんき?」と自分にあいさつすることからはじめたい。そんな、ポジティブな気持ちにさせてくれる1冊です。


試し読みをチェック!
▼右にスワイプしてください▼(※実際は縦開きの絵本です)

 

『おはよう!げんき? ありさんどんどんのぼったら』
村上勉:作

小さなありさんが「おはよう!」と朝のあいさつをしながら、どんどんと元気いっぱいにのぼっていきます。のぼる途中ではばったやてんとうむし、ちょうちょなどの生きものたちと出会います。みんなとあいさつをした後、のぼった先に待っていたのは……大きなひまわりと……?いきいきと表情豊かな生きものたちがたくさん登場し、ページのすみずみまで自然の中で生きる喜びが感じられる一冊。


構成/北澤智子