コロナ後に旅行のあり方が変わるのではないかというのは、多くの人が感じていることだと思いますが、民泊サイトAirbnbの最高経営責任者(CEO)ブライアン・チェスキー氏が、コロナ後の旅行に関して興味深い発言を行っています。

Airbnbは民泊を仲介するサイトですから、当然のことながらコロナ危機の影響を大きく受けており2020年10〜12月期決算は大幅な赤字でした。1〜3月期も赤字が続いていますが、売上高は増加に転じており、すでにコロナ後を見据えた動きが見えてきているようです。

パンデミックの渦中にあった2020年12月、米Airbnbはナスダックに上場。コロナ後を見据えた買い注文が殺到し、今年最大規模のIPO(新規株式公開)を記録。時価総額は一時10兆円を超えた。写真は上場当日にNYのビルボードに映し出されたチェスキーCEO。写真:ロイター/アフロ

同社のチェスキーCEOは業績回復に自信を見せており、コロナ後の旅行市場はコロナ前とは様子が変わる可能性が高いと分析しています。つまりコロナ終息をきっかけに旅行そのものは完全復活するものの、そのスタイルは以前とは違ったものになるというわけです。

 

Airbnbが行った調査によると、「旅行」はコロナ後にもっとも再開したい事のひとつでしたが、同じ旅行でも出張は最も再開したくないことに位置付けられたそうです。出張が楽しみという人もいるかもしれませんが、やはり出張は時間も手間もかかりますから、多くの人にとってあまり望ましいものではなかったようです。コロナ危機で出張が中止になったことから、いかに面倒なことをしていたのか再認識したというところでしょう。

チェスキー氏は出張はなくならないものの、以前とは形を変えると予想しています。

現在、Airbnbにおける都市部の予約は平均すると28連泊になっているそうです。これは、自由な形で長期滞在している人の影響もあると思いますが、同社では仕事目的の人もかなりいると考えているようです。つまり、遠隔で働いているものの、どうしても顔を合わせる必要がある場合には集中して本社のある都市部に滞在するというスタイルです。

また、28泊以上の長期滞在は以前は全体の14%でしたが、コロナ危機が続いている現在では24%と2倍近くに増えています。以前のように特定の観光地などに予約が偏るということがなくなり、世界のあらゆる場所に予約が分散するという傾向が顕著だということです。

感染防止から観光地への旅行が減った影響が大きいと思われますが、テレワークをきっかけに、住みやすい場所に移動して長期滞在するニーズが増えた可能性も示唆しています。

 
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