「バカとブスこそ東大に行け!」は令和のルッキズムにどう響く?【ドラゴン桜】_img0
『ドラゴン桜』(TBS系 日曜21時〜)

今期ドラマの中で視聴率トップを走り続けている『ドラゴン桜』。落ちこぼれ生徒たちが、弁護士・桜木健二(阿部寛)の提案する目から鱗の勉強法によって東大を目指す、というもので、2005年に放送されたドラマの第2シリーズとなります。第1シリーズと比べて“成敗”的なシーンが増えており、「『半沢直樹』化している」という異論反論もあるものの、阿部寛のパンチの効いた演技と、「へえ~!」と思わせる受験情報を織り交ぜていることもあって、何だかんだ面白く見させてもらっています。

 


原作漫画にはないドラマのオリジナル「決めゼリフ」
 

……ただ、一点だけどうにも引っかかりを覚えて流せないことが。それは第3話で登場した、桜木の決めゼリフである「バカとブスこそ東大に行け!」です。

このセリフは第1シーズンでも登場し、その過激さから大きな話題となったものです。が、実はこのセリフ、原作漫画にはないもので、ドラマのオリジナルだそう。
そして第1シリーズが放送された2005年と違って、今や「ブス」はルッキズム(外見差別)を助長するものとして炎上ワードとなっています。

それゆえ今シーズンでもこのセリフを登場させるのかは、多いに注目されたところでした。しかし製作サイドは、やや無理やり感をはらみながらも第3話で桜木に「バカとブスこそ東大に行け」と言わせました。そこには、『ドラゴン桜』といえばこのセリフだ、という意地もあったのかもしれません。でも私は、逆にこのセリフを言わせたことで『ドラゴン桜』第2シーズンの軸が全く定まらなくなってしまった、という印象を受けたのです。

なぜかと言いますと、それは「ブス」という用語が、そのタブーさ以上に、今やとても定義が曖昧なものになっているから。


「ブスこそ東大に行く」理由が見当たらない
 

おそらくですが、この『ドラゴン桜』が言うところの「ブス」というのは、基本的には女性を指していると思われます。何かと男社会の日本。それゆえ男目線の「美人」には有利だけれど、「ブス」には不利なことが多いのが実情。だから学歴という別の武器を身に着けて世の中を渡っていけ、というのが、このセリフが暗に言わんとしていることだったと思うのです。

しかし多様性や個性が重視される今の時代、社会において不利になるような容姿って一体どういうものなのでしょう? 東大という武器を身に着けて補わなければいけないほどの「ブス」って……?

 
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