春ドラマも終盤へ。次に夢中になれるドラマを絶賛探し中のあなたへ、テレビから配信系までカバーするコラムニスト長谷川朋子が、好みのドラマ別に次にハマれる作品を独断と偏見でオススメする“はせともマッチング”をお届けします。
 

とわ子とかごめの幼馴染バディに胸熱くしたあなたへ


今クールの話題作『大豆田とわ子と三人の元夫』で松たか子さん演じる“とわ子”と市川実日子さん演じる“かごめ”の親友関係をもっと見たくなってしまった方にオススメしたい作品があります。それはNetflixオリジナルシリーズ『ファイアフライ通り』です。アメリカはシアトルを舞台に70年代の少女期から、80年代、2000年代までカルチャーを駆け巡りながら、30年来の女の友情物語をとことん描く本作。最も得難いものは“生涯の友”であることを全力で伝えて、熱くさせるドラマなのです。

『ファイアフライ通り』Netflix独占配信中


見どころは一人の役者が20年、30年の月日を演じ切るメイキャップ技術?!


『大豆田とわ子と三人の元夫』の“とわ子”(松たか子)にとって、人生の支えになっているものは元夫たちよりも親友の“かごめ”(市川実日子)の存在なんじゃないかって思います。時にぶつかり合い、互いのわがままを聞き、それぞれの人生の選択をそっと応援する。30年の月日の中で培われてきた信頼関係は家族以上、もしかしたらパートナー以上なのかもしれません。そんな女の友情が染み入るお年頃、アラフォー女性の物語が『ファイアフライ通り』でも描かれています。

『ファイアフライ通り』Netflix独占配信中

主役はタリーとケイト。タリー役は海外ドラマファンであればお馴染みの『グレイズ・アナトミー』で主人公メレディスの同期イジーを演じたキャサリン・ハイグルが務めています。相方のケイト役は女優からアニメ声優までこなす演技派女優のサラ・チョークです。タリーは全米でテレビ放送されている人気トークショー番組の司会者で、ケイトは専業主婦という一見接点のないような2人ですが、14歳の時の出会いから築かれてきた絆を10話にわたって描いています。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー作家のクリスティン・ハンナの同名小説が原作です。

左から、ケイトを演じるサラ・チョークとメレディス役のキャサリン・ハイグル。COURTESY OF NETFLIX

女の友情劇らしく、初潮から初恋、大学を卒業して初仕事、さらに大人になって経験する仕事の失敗と成功に、プライベートライフでの失恋、結婚、出産、離婚、シングルマザーの道と、目まぐるしく迫られる女の人生の選択を探っているのがこのドラマの醍醐味です。

 

見どころは何と言っても役者たちひとりひとりが20年、30年にわたる登場人物の姿を描き切っているところ。タリーとケイトの少女期はさすがに子役を起用していますが、メイキャップを駆使して、若さと老いの七変化が毎話詰め込まれています。とは言え、40代の役者が20代を演じるには限界を感じる違和感も。時にセルロイド人形のような表情になってしまう場面に興ざめしつつ、小道具から大掛かりな舞台セットに至るまで年代を精密に表現した美術クオリティに助けられています。

少女の頃の二人。COURTESY OF NETFLIX
若い頃のメレディスとケイト。COURTESY OF NETFLIX


70年代のヒッピースタイルから80年代のカラフルオフィスファッションまで網羅


タリーとケイトの記憶を辿っていくように、70年代、80年代、2000年代の場面がしょっちゅう入り交じる演出も斬新です。さっきのタリーは20代で今のタリーは40代なのか!といった具合に多少混乱を招きやすいのですが、年代を象徴するヘアスタイルと衣装は存分に楽しめるでしょう。

例えば、70年代はタリーとタリーの母親の母娘ヒッピースタイルにご注目。80年代はケイトが外巻きヘアに赤のワンピと赤のストッキングといった組み合わせで、オフィススタイルがとにかくカラフル。タリーはブルーのシャドウで決めています。ザ・アメリカンな年代別ファッションが凝りまくっているのです。

二人のオフィスファッションとヘアスタイルにも注目! COURTESY OF NETFLIX

年代を彩っているのはファッションだけに限りません。選曲の拘りも半端ない。シリーズの音楽を80年代のアーティストを代表するプリンスが結成したバンド「ザ・レヴォリューション」のギタリスト、ウェンディ・メルヴォインとキーボードとして活躍したリサ・コールマンが担当しています。時代を即座に思い起こさせる名曲も取り入れながら、ひとつひとつのシーンで感情を高ぶらせていく音楽演出がこれまた憎いのです。

「ダンシング・クイーン」など、エピソードタイトルにまで当時の名曲タイトルが使われている拘りっぷり。タイトルの楽曲を聴きながら、脚本が書かれていたとか。シーン2の配信が決定したところで、タリーとケイトの物語はまだまだ続いていきそうです。ストーリー、ファッション、音楽の力でその時代に身を置く感覚を味わる女の友情物語から、自身の思い出まで蘇らせてくれるかもしれませんよ。
 

『ファイアフライ通り』のファッションと女の友情に胸熱くする!
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