今だってもちろん好きだけど なぜだろうあの頃に戻れない––––––。
6月9日にリリースした乃木坂46の最新曲「ごめんねFingers crossed」は、力強さのなかにどこか切なさを感じさせる失恋ソングです。「今だってもちろん好き」「明日ももちろん好き」と言いつつも、さよならを告げる。そして、「君の幸せをずっと祈ってるよ ごめんねFingers crossed(=成功を祈る)」と結んでいるんですよね。

©︎Sony Music Labels Inc.


『着飾る恋』も『リコカツ』も
“恋の終わり” “終わってからの関係”を描くのが現在のトレンド?


“恋の終わり”を描くのは、最近のエンタメのトレンドにもなっていて。例えば、1月に公開され、大ヒットした映画『花束みたいな恋をした』も、麦(菅田将暉)と絹(有村架純)の恋が終わっていく様を描いた作品でした。「ラブストーリー=恋を成就させる様子を描いていく」という固定概念が覆されたのを覚えています。

 

その後、4月スタートのドラマでも、“恋の終わり”を描いた作品が多く登場しました。

例えば、『大豆田とわ子と三人の元夫』のとわ子(松たか子)は、別れた三人の夫にいまだに振り回されている。けれど、突き放すことはしないし、きっと幸せを祈っているんです。まさに、「ごめんねFingers crossed」のような感じなんですよね。大切な存在ではあるけれど、“あの頃”と同じようにはできない。

作中に登場する「好きな人の好きなところを他人に教えたら恋の終わり」という台詞も、「♪冷静じゃないから恋ができるんだ 客観的って自分らしくない」という歌詞にリンクします。

また、『着飾る恋には理由があって』でヒロイン・真柴(川口春奈)を支える姉貴分・香子さん(夏川結衣)と元夫の関係性も、同じようなものがあります。“緊急連絡先”にお互いを設定していて、何かあった時には一番に駆けつける。もう、夫婦ではないのに。

北川景子×永山瑛太のタッグで話題の『リコカツ』も、離婚届を出して戸籍上は他人になった後でもお互いのことを心配し、紘一(永山瑛太)が咲(北川景子)の元カレに「彼女のことを頼む」とお願いをしに行くシーンがありました。

「ごめんねFingers crossed」の歌詞や今期のドラマ作品を見ていると、終わった関係性を大切にする様子を描いたものがとにかく多い。別れたからといって、スパッと関係を切らないんですよね。

新型コロナウイルスの流行により、人と人との繋がりが希薄になっているからそ、今まで構築してきた関係性を大切にしたい。そんな想いが影響しているのかもしれません。

 
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