千葉県八街市で、下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、5人が死傷するという言葉にならない事故が発生しました。こうした痛ましい事故を防ぐ方法はないのでしょうか。
事故が発生した場所の見通しは比較的良好ですが、道幅は7メートルと広いとはいえず、ガードレールや路側帯も設置されていませんでした。この道路は小学校の児童が通学路として利用しており、以前から危険だという声が上がっていたそうです。実際、2008年度から4年間にわたって小学校のPTAからガードレール設置の要望が出ていたこともありました。
事故の直接的はトラックの運転手ミスで、運転手は飲酒を認める発言も行っているようです。もし飲酒が本当であれば、完全に運転手の責任ですし、運転手が勤務していた会社ではアルコール検査を行っていなかったそうですから、法律的には問題ない場合であっても、企業の姿勢が問われることになりそうです。
飲酒運転へのさらなる対策が求められるのは間違いありませんが、歩道を歩いている人にとっては、アルコールを検知するとエンジンがかからなくなるといった措置でも講じられない限り、100%の安全が保証されるわけではありません。ガードレールの設置など、仮に無謀運転が発生しても、事故を最小限に食い止める措置が充実していた方がより安全であることは明らかです。
道路を管理する八街市では、当該道路の危険性について認識はしていたそうですが、予算の制約などもあり、著しく見通しの悪い交差点など、危険度が高いと思われる場所の対策を優先している状況でした。ただ、今回の事故発生後、菅義偉首相や棚橋泰文国家公安委員長(警察業務を所管する大臣)が相次いで献花に訪れていますから、政府としても事態を重く見ているようです(菅氏は歩道設置などについて「政府が全面協力する」と述べています)。
しかしながら、危険な道路の問題というのは最近になって顕在化したことではありません。日本の道路は歩行者を優先するようには建設されておらず、危険な場所がたくさんあるというのは、実は昭和の時代から、何度も何度も繰り返し指摘され続けてきたことです。しかし、こうした指摘や批判が出てくるたびに、新規建設を犠牲にするのか、という意見が出てきたり、安全性を確保した道路を建設するのは用地確保や工事の面などからコストがかかるといった理由で、あまり顧みられることはありませんでした。
確かに戦後間もなくの時代であれば、新しい道路の建設を優先することも、ある程度までは仕方なかったかもしれません。しかし、昭和の時代から平成に入っても、危険な道路が放置されてきたというのは、先進国としてはあってはならないことでしょう。
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