“子宮”の2文字が入ったトピックで気になること。それはやはり、「妊娠」と「がん」についてではないでしょうか。婦人科疾患ではあまり怖いイメージのない「子宮内膜症」ですが、実は放置してしまうと大変なことになるのだとか……! 2021年に自身のSNSで子宮内膜症であることを公表したフリーアナウンサーの宮島咲良さんと、主治医を務める東京国際大堀病院・産婦人科医の柳田聡先生に、見逃すと危険な「子宮内膜症に潜むリスク」についてお聞きします。

 


子宮内膜症になっても妊娠できる?
→妊娠は可能です。ただし、放置すると不妊の原因にも。


柳田 聡先生(以下、柳田):子宮内膜症になっても妊娠はできますが、卵巣などに発症することが多い病気なので、放置してしまうと「不妊」の原因になることも。

放置した場合に限らず、子宮内膜症の手術を複数回行うことで負担がかかったり、また卵巣の機能が損なわれる手術をしなければならない場合もあり、「しっかり治療を行えば妊娠できます」と言えないのがこの病気の難しいところです。

宮島咲良さん(以下、宮島):これは切実な問題ですよね。私自身は今パートナーがいないこともあり、「いつか授かったらいいな」という考えでしたが、手術前に先生から、「卵巣の健康な部分を少し削らなければならないので、妊娠する機能が少しだけ低下してしまうかもしれません」と説明された時、やっぱり悲しいという気持ちが湧いてきて。2つある卵巣の両方を手術しなければならないという自分の状況も、不安に拍車をかけました。自分のリスクを知りたい、でも怖くて知りたくないーー。婦人科に行けないという方の中には、そんな複雑な思いを抱える方も多いのではないかと思います。

 

柳田:何度も繰り返すのですが、子宮内膜症は自分では見付けにくく、30代前半が発症のピークになります。だからこそ、今すぐ妊娠したいという気持ちがなくても、子宮内膜症と診断された場合は早めに治療をしておくことを強くおすすめしたいんですよね。

今は仕事をがんばりたい。もちろん素晴らしいことです。でも、放置してしまうといざ子どもが欲しいと思ったタイミングで、子宮が“妊娠しづらい環境”になっている可能性もあります。結婚も妊娠も自分一人ではコントロールできませんが、いざ赤ちゃんがほしいと思った時に“妊娠しやすい環境”を作っておくことは一人でもできます。先手を打っておくに越したことはありません。

宮島:先生方のおかげで私は妊娠の可能性を残していただきましたが、今後もしお付き合いしたい方が現れたら、子宮内膜症の手術をしたこと、妊娠に影響があるかもしれないということは相手に伝えたいと思っています。

女性は子どもを産むためだけに生きているわけではないですし、私自身もこの先「絶対に子どもがほしい」と思うかはわかりません。ただ、相手が子どもに対してどんな思いを抱いているかも、話してみないとわからない。お互いの人生のためにも、お付き合いする方にはこの病気のことを共有できたらいいな、とは考えています。

 
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