不妊や卵巣がんの原因に...「子宮内膜症」を絶対に甘く見てはいけない理由

子宮内膜症にも良性・悪性ってあるの？
→悪性の場合「卵巣がん」になる可能性があります。

柳田：子宮内膜症が“無治療で放置”された場合、0.72％が悪性化して「卵巣がん」になると言われています。また、子宮内膜症のある人はない人に比べて2.7倍、卵巣がんになりやすいとされます。他にもこんな数字があります。

・9cm以上の大きいサイズ、もしくは45歳以上で大きいサイズの子宮内膜症は卵巣がんになりやすい
・半年の間に2倍の大きさになるものは卵巣がんになりやすい

ちなみに、子宮がんや乳がんは、細胞診などを行って「がん」の確定診断をしてから手術や投薬治療に移りますよね。でも卵巣がんは、手術してみないとがんの確定診断が付けられません。これが卵巣という臓器の特徴なんです。

宮島：ということは、「子宮内膜症」や「チョコレート嚢胞」と診断されて手術台に乗ったものの、術後に「卵巣がんでした」と宣告されるケースがあるということですか？

柳田：そうですね。ただ実際には、手術前にMRIや腫瘍マーカーという血液検査などを行なうことで、悪性の可能性をある程度推測しています。宮島さんの場合も、検査の結果から悪性の可能性は低く、子宮内膜症の可能性が高いと判断したうえで治療を開始しています。

宮島：その節は本当にありがとうございました……。もしも、悪性の可能性が高いと事前に推測されていた場合は、同じ子宮内膜症の手術でも色々と変わっていたのでしょうか？

柳田：通常の子宮内膜症手術との大きな違いは、卵巣がんであれば卵巣や子宮の完全切除を含む大きな手術をしなければならない可能性があるため、その準備をして手術に臨む、ということです。一般的に、摘出した子宮内膜症の組織は病理検査をして、約２週間かけてがんがないかを調べます。

ただし、手術前の検査で卵巣がんが疑われる場合は、手術中に摘出した組織にがんが含まれるかを判断する「迅速診断」を行い、その場で手術の方法を決定します。そのため、迅速診断で卵巣がんが見つかった場合にどのような手術をするかは、手術の前に患者さんとよく相談して決めておく必要があります。もちろん、良性であった場合は、卵巣の一部のみを切除してできるだけ卵巣の機能を温存します。

宮島：子宮内膜症って「命に関わらない病気」というイメージが強かったのですが、先生のお話をお聞きして、甘く見てはいけない病気なんだなと改めて痛感しました。特に妊娠を望む方にとっては、何かと不安が大きい病気ですよね。

柳田：ですので、患者さんへの丁寧な説明はもちろん、出産を望まれる方にはできるだけ妊娠の機能を維持できるような手術を選べないかよく検討します。がんの進行状況によって卵巣や子宮を残すと再発リスクが上昇してしまう場合もあるので、医学的に許容される範囲と、患者さんがリスクを理解いただける範囲で、バランスをとっていくことになりますね。

少し難しい話になってしまいましたが、卵巣がんになる確率は子宮内膜症の0.72％ですから、それほど多い病気ではありません。圧倒的に良性の方が多いので、あまり不安になりすぎずに受診していただければと思います。

柳田聡　Satoshi Yanagida
東京国際大堀病院 婦人科 副部長。医学博士。東京慈恵会医科大学 産婦人科医、講師を経て現職へ。婦人科腫瘍・女性医学が専門。根拠と優しさをモットーに、女性のライフステージに合った診療を心がけ、患者一人ひとりと向き合う。

宮島咲良　Sakura Miyajima
1983年11月9日生まれ。東京都出身。ワタナベエンターテインメント所属。大学卒業後の2007年、アナウンサーとして九州朝日放送に入社。2010年に同社を退社し、フリーアナウンサーに転身。また、アナウンサーの枠を超えて幅広く活躍。2011年に『ザ・デッド・エンド』で舞台に初出演。2014年には、テレビアニメ「くつだる。」のテーマ曲で歌手デビューを果たす。戦隊もののファンで、スーパー戦隊シリーズ「手裏剣戦隊ニンニンジャー」の挿入歌なども担当した。現在は、BS11「BSイレブン競馬中継」、ニッポン放送「天野ひろゆき ルート930」、MBSラジオ「増田貴久・中丸雄一のますまるラジオ」など幅広く出演中。
Twitter：宮島咲良=ぼっち戦隊ミヤジマン（@sakura1109m）
Instagram（sakura_miyajiman）

 

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