「認知」とは非常に多面的なもの
認知症の原因について考えていくにあたり、「認知症とはそもそも何なのか」からおさらいしておきましょう。
それにあたっては、まず人の「認知」について理解する必要があります。
「認知」とは、人が学習する、記憶する、言語を用いる、計画したことを遂行する、自分の置かれた状況を認識するという機能のことを指します。認知機能が、一面的でなく、非常に多岐にわたることがご理解いただけるかと思います。
例えば、スマートフォンの操作一つでも、スマートフォンの画面をどのように開くかを記憶していなければできませんし、その記憶を呼び起こし、正確な手順で計画を遂行しなければ使いたいアプリを立ち上げることはできません。脳という臓器はこのように、非常に多くのことを瞬時に処理し続けているのです。
「認知症」というのは、これらの能力のうち一つ以上が生まれつきではなく、大人になってから障害されて衰退し、日常生活を自立して送ることが難しくなった状態のことを指します(参考文献1)。厳密にいえば、その認知機能の障害はせん妄やうつ病などが原因で起こったものではないという条件も加わり、診断ができます。
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