新型コロナウイルスの感染が深刻になっていることから、小売店など市中でも感染が拡大する事例が頻発しています。拡大防止の決め手であるワクチンの接種が十分に進んでいないことから、ワクチンを接種できた人とできない人との間で行動成約に大きな違いが生じつつあります。しかしながら、ワクチン接種の有無によって断絶が生まれるようなことはあってはなりませんから、企業などでは十分な配慮が必要でしょう。 

リスク抑制のカギは「確率」。感染爆発の中で私たちが今思い出すべきこと_img0
6月から開始された、小売大手・イオンでの新型コロナウイルスワクチンの職域接種の様子。写真:ロイター/アフロ

ある大手小売店では、店内で88人が感染し、一部の売り場を休業するという事態となりました。小売店の場合、業態によっては、基本的に場所貸しのビジネスですから、実際に売り場で商品を販売している人は、小売店を運営する企業の社員ではありません。

 

仮に小売店が全社で職域接種を行っても、売り場で販売している人が所属する企業で職域接種が行われていない場合、事実上、職域接種を行っていないことと同じになります。

国全体としては、とにかく多くの人が接種を済ませればよいという話になりますが、企業単位の場合には、取引先なども含めて、多くの関係者が接種できた方が望ましいのは言うまでもありません。しかしながら、職域接種に限らず、自治体の集団接種も含めて、現在、ワクチンの供給が滞っていますから、打ちたくても打てない人がたくさんいることは明らかといってよいでしょう。

全国の知事会は、政府に対してロックダウンを含む厳しい措置の検討を要請しましたが、今のところ政府はそうした予定はないとしています。実際、ロックダウンを含む厳しい措置を実施すれば、大規模な経済支援とセットにしない限り、経済的な影響が大きくなりすぎてしまいます。

とにかく今は、可能な限り密な状態を避けて自衛を心がけるとともに、希望する人にはできるだけ早くワクチンを打つ以外に解決策はありません。ただ、前回のコラムでも取り上げたように、ワクチン接種の副反応が意外と大きく、仕事の調整に手間取る人も多いようです。

特に2回目の接種では、かなりの割合で発熱などの副反応が発生するようですから、余裕を持ってスケジュールを立てる必要がありますし、職場はもちろんのこと、取引先にも配慮が求められます。

ここまで感染が拡大すると、確実に、身近に感染者がいる、もしくは自身も感染している可能性があるという状態ですから、誰にとっても他人事ではありません。

 
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