「調子にのるな」と言う前に調子にのるくらいほめてみる

 

まず言いたいのは、「調子にのるくらいほめる」ことができたらすごいということです。

そもそも僕たちはほめるときの語彙をあまり持っていません。子どもを1時間説教することはできても、1時間ほめ続けることは至難の業です。なぜなら、僕たち自身、あまりほめ言葉をたくさんかけてもらってきていないし、ほめる表現に慣れていないからです。だから、「ほめると調子にのるのでは?」と心配している人に対しては、「調子にのるくらいほめてみてください。なかなかできませんよ」と言いたいのです。

 

もし、「あなたすごいじゃない!」とシンプルにほめただけで子どもが調子にのるくらい喜ぶのであれば、それはほめたお父さん・お母さんが尊敬されているからです。とても信頼されているからです。親が子どもをほめて、その子が調子にのるくらい喜ぶということは、ほめる語彙を持っているしほめ方がうまい。もしくは、素晴らしいマネジメント力を持っているということです。

それでも「ほめると調子にのるのが心配」と言う人には、「お子さんが調子にのっている状態と、へこんでいる状態、どちらがいいですか?」と聞きます。そうやって聞かれれば、「調子にのっているほうがいい」と答えますよね。人生の中で調子にのれるときは多くないのだから、調子にのれるときにのっておいたらいいのです。

おそらく、ほめられることで調子にのってほしくないという人は、「今後それをやらなくなるのが心配」ということなのでしょう。

でも、何かを達成して嬉しいのなら、その感情をしっかり味わわせることは大切です。テストで頑張っていい点をとっても「まだまだ」、100点をとっても「まだまだ、油断するな」……。これでは常に不満足感が残ります。そして、今後の人生で大きなことを成し遂げても「まだまだ」という焦燥感がつきまとうのです。これは不幸ではないでしょうか。