嫉妬する相手を観察すると見えてくることがある


嫉妬は、特に同じ環境にいる人や自分と大して変わらない能力(魅力)の人(=自分と同類だと思える人)が、自分よりも恵まれている時に感じやすいものです。
それは、見方によっては、「自分にも、相手が得ている幸せは、手が届く可能性がある」ということ。だから、嫉妬する相手に出会ったときは、「相手がどうやってそれを手に入れているのか」を観察し、自分にできることを自分に合った形で真似してみると、見えてくることはあるでしょう。

 

例えば、仕事でうまくいっている人がいたら、どんな理由でうまくいっているのかをリサーチしてみるといいでしょう。そうすると、実は相手が陰ながら努力して勉強していたり、仕事の人脈を掴むために色々なところに顔を出したりしていることにも気づくもの。
そうしたら、できるところから自分なりの方法でやってみればいいのです。それでうまくいけば、相手のことを嫉妬する必要がなくなってくるでしょう。

逆に、真似してみると、「同類だと思っていた相手が、自分とは違うこと」を知ることもあるでしょう。それも大切なことです。
自分には真似できないくらい、相手は色々な努力や苦労を重ねていることもあるでしょうし、自分にとって苦手なことが、相手にとっては息をするくらい簡単なこともあるのです。
そうしたら、嫉妬するどころか、相手のことをリスペクトすることもあるもの。そうしたら、相手に対する嫉妬心は、薄まるはずです。

その場合は、「相手と自分は違うのだから、自分の持ち味は何だろう?」と考えることも大事です。もし自分の特徴を理解し、得意なことを生かすことができたら、そもそも人と比べることすらなくなります。「比べても意味がないこと」を理解するからです。

先ほど、「自分と同類だと思う相手に対しては、嫉妬しやすい」と言いましたが、逆を言えば、「自分とは全く違う人に対しては、嫉妬しにくい」ということ。
それは、極端な話、「自分は、他の人とは違うのだ」と思えるようになれば、嫉妬しにくくなるとも言えるのです。

結局、なぜこんなに人と比べる人が多いのかというと、みんなそれぞれ個性も特技も違うのに、「みんなと同じ行動をすること」を求めてきた日本の学校教育の影響は大きいでしょう。社会では未だに「出る杭は打たれる」傾向がありますしね、
だから、その価値観から抜け出すことも大切。「誰一人同じ人間はいないし、持ち味は人それぞれなのだから、みんなそれぞれ自分の得意なことを生かしていけばいい」だけのことなのです。

もちろん「会社の出世」の話になると、その会社に合っている人、ある分野に長けている人には、勝てないこともあるでしょう。でも、その場合は、そもそも「その会社で出世をすることが、自分に向いているのかどうか」というところも見直したほうがいいこともあるのです。
さらに言えば、出世したからって、幸せになれるものでもありません。自分に合っていない環境であるなら、なおさらです。そうしたら、「自分にとっての本当の幸せは何か?」をまっさらな気持ちで考えることも大切なのです。

人によっては、出世よりも、愛する家族と楽しく過ごすことが幸せだという人もいるでしょうし、会社員でいるよりも起業して、自由に仕事をするほうが合っている人もいるでしょう。

「自分が向いていないことを目指すと、自分らしくいられないので、苦しくなるもの」だということは、よく理解したほうがいいし、自分に向いていることよりも、人に「スゴイ!」と称賛されることばかりを目指してしまう人は、心の奥に潜んでいる「劣等感」ときちんと向き合う必要があります。
結局、歪んだ思考のままだと、「自分らしく幸せになること」は難しくなってしまうのです。

世の中には、そもそも「嫉妬しにくい人」がいます。そういう人は、「人は人、自分は自分」と考えているだけでなく、「自分さえ魅力があって、能力があれば、何の問題もない。だから、自分を磨くしかない」と考えているのです。
つまり、「自分よりも優れている相手がいようが、自分がさらに能力を高めればいい」という思考なのです。だから、嫉妬する暇があれば、自己を高めるのです。

結局、人生は、いつだって「自分(の弱さ)との戦い」です。人と比べているうちは、“本当に戦うべきもの”が見えていないから、うまくいくはずがない、とも言えるのです。
たとえ嫉妬している相手を引きずり落としたとしても、自分の能力を上げていない限り、また新たな優れた人が目の前に現れることでしょう。
だから、欲しいものを手に入れるためには、「自分の能力(魅力)を上げることしか方法はない」ということなのです。

ここまでは、「自分が嫉妬したとき」のことを紹介しましたが、なかには、人から嫉妬されることもあるもの。意外と人から意地悪をされることの多くの原因が、「相手の嫉妬心」であることが多いのです。
それについては、次のページで紹介します。