政府の「規制改革推進会議」議長に就任した夏野剛氏(KADOKAWA社長、慶応大学特別招聘教授)の税金と格差に関する過去の発言が波紋を呼んでいます。簡単に言ってしまうと、低所得の人は事実上所得税を払っていないので、格差を問題視する資格はないという趣旨なのですが、低所得者は税金を払っていないという話は本当なのでしょうか。
今回、ネットで話題になっているのは夏野氏による今の発言ではなく、過去のツイッターでの発言です。
ただ、夏野氏は今年7月、五輪の無観客開催の是非に関して、「そんなクソなピアノの発表会なんてどうでもいいでしょう、五輪と比べれば。だけどそれを一緒にするアホな国民感情に、今年選挙があるから乗らざるを得ないんですよ」と発言し、謝罪に追い込まれたという経緯があります。こうした発言の直後に、規制改革を議論する政府の要職に就任したことから、一部の論者が過去の発言を取り上げ、激しく批判しているという図式です。
波紋を呼んでいるツイッターの発言は、「税金払ってないくせに格差を問題視する若者、将来に希望なし」というものです。この発言だけでは、言葉尻をつかんだだけの批判とも解釈できますが、夏野氏はほかにも「税金も払っていないのに年金と社会保障要求し、公共事業で仕事作れという方が傲慢じゃない?」「年収400万円以下は事実上所得税払ってません。まさか消費税だけで税金払ってるとか言うなよ」とも発言しているので、基本的な価値観に大きなブレはないと思ってよいでしょう。
一連の発言は、年収が低い人はほとんど税金を払っていないということが大前提になっているわけですが、果たして、これは本当なのでしょうか。
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