認知症予防において、食事はどうでしょうか。認知症予防に有効と証明された特定の食品というのは残念ながらありませんが、認知症予防につながる「食事法」といえば、地中海式ダイエットが最もそれに近いかもしれません。
まずは、地中海式ダイエットがどういったものかを見ていきましょう。
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認知機能低下の度合いと相関関係がある
地中海式ダイエットと言っても実は幅広く、単一の食事法が決められているというわけではありません。
地中海式ダイエットは一般的に、果物、野菜、全粒穀物、豆類、ナッツや種子などの種実類を多く含み、脂肪源としてオリーブオイルを含みます。また、魚、鶏肉、乳製品は少量から中程度の量で、赤身の肉はほとんどありません。このような食品で成り立つ食事法が地中海式ダイエットと呼ばれるものです。
この地中海式ダイエットは、食品の構成やバランスがよく、健康への影響が熱心に研究されている食事法の一つです。
実際に、ある観察研究で、地中海式ダイエットを守って食事をとっている人は、地中海式ダイエットを摂取していない人と比較して、認知機能の低下が軽いことやアルツハイマー病の発症率が低いことと相関関係があることが示されています(参考文献1)。
しつこいようですが、「相関関係」であり、「因果関係」ではありません。この「相関関係」では、背景に経済的なことや教育レベルの違いが隠されている可能性があり、地中海式ダイエットが認知機能に影響をもたらしたのかは明らかではないという点が指摘されています(参考文献2)。
すなわち、地中海式ダイエットを遵守できるような人は、経済的に余裕があり、教育レベルも高い可能性がある。そして、経済的に余裕があって教育レベルが高いことこそが、認知機能低下に保護的に働いたという指摘です。
しかし、この地中海式ダイエットの話には続きがあり、実は因果関係を証明するための大規模なランダム化比較試験も行われています。とはいっても、因果関係の相手は認知症ではなかったのですが。
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