パラダイムシフトの今、「美の価値観」を刷新し続けてきた美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、注目したいある視点をピックアップします。
お騒がせ行動が断続的に続いているメーガン妃。でも、いくらバッシングされても力強く生きている強心臓の持ち主として、決して負けていないのが、カミラ夫人。ある視点から2人の関係、あるいは2人の違いを解き明かすと、そこにはなかなかの学びがあったのです。
英国で最も嫌われた女
「面白い」と言ったら不謹慎でしょうか。どんなにバッシングを受けても力強く生きていく、強心臓の持ち主として双璧をなす“2人の女性”の対比は、やたらに興味をそそります。
メーガン妃と、カミラ夫人。2人の関係性について伝える報道はそう多くないものの、ある視点から2人の関係、あるいは2人の違いを解き明かすと、なかなかの学びとなるのです。
ちなみにキャサリン妃とメーガン妃では、今や韓国ドラマのヒロインと敵役、コントラストが強すぎて考察にならないけれど、どちらもヒール役と言うあたり、メーガンウォッチャーとしてはわざわざ対峙させたくなる乙な組み合わせ。
ご存じのようにカミラ夫人は、結婚当時からダイアナ元妃を苦しませ、元妃の壮絶な死のあと2年は鳴りを潜めていたものの、結局はチャールズ皇太子の妻におさまるという、なかなかの鉄面皮。
案の定強烈なバッシングに晒されて「英国で最も嫌われた女」と称され、淡々と公務をこなすも、衰えぬダイアナ妃人気の裏で、カミラアレルギーの人は一向に減る気配を見せません。
そんな中でメーガン妃の登場、当初はカミラ夫人が色々アドバイスするなど、関係は良好だったとか。離婚経験者である上にアメリカ人という不安材料を持つメーガン妃に、ある種のシンパシーを感じたということでしょうか。
しかし、ヘンリー王子夫妻の王室離脱、そして今年春のロングインタビュー、さらにはこれから出ると言う暴露本、全てが夫チャールズ皇太子への致命的な裏切り。必然的に関係は最悪となったはずですが、1つだけカミラ夫人に好都合だったことが。それは、最悪だった好感度が、少し上がったこと……。
なぜチャールズ皇太子を虜にしたか?
世の中面白いもので、新たな敵を見つけると、それまでの敵には関心を失いますが、無理に比較して「まだマシ」という判断になるのか、カミラは王室メンバーにおける人気ランキング最下位から脱出しただけでなく、好感度を上げたのです。
確かに、メーガン妃の傲慢に比べれば、カミラ夫人の我の通し方は一本スジが通っていると言えなくもありません。世界中が非難する不倫を貫き、半世紀にわたる愛を実らせたのですから。今や発言は極めて真っ当で物議を醸すこともなく、主にファッションで株を上げる無難な生き方は、ひたすら夫を支える妻、と写ります。
ただ正直を言えば、チャールズ皇太子がなぜカミラ夫人にそこまで執着したのか、そこは今も全く腑に落ちず、誰か説明して! とお願いしたいほど。ところが大人気ドラマ「ザ・クラウン」を見て初めて、じつは少しだけ理解できる気がしたのです。
このドラマ、どこまで事実に基づいたものなのかは不明、ただ周りの証言等を得た末の脚色なら、カミラ夫人は極めてウィットに富んだ会話ができ、周りを楽しませる人。若き日の皇太子は恋の手ほどきもしてくれるこの年上の女性に、完全に溺れていきます。その気持ちを知りながら当時社交界の花形だったパーカーボウルズ大尉と結婚してしまうカミラは、余計に意のままにならない魅力的な女性に写ったはず。
対して、ダイアナ元妃は純粋で幼くナイーブすぎました。
のちの国王という、常人にはわからない深く重い不安を抱く皇太子を支えらえるのは、機知に富む大人の女、カミラ夫人以外存在しなかったということでしょうか。
ダイアナがお妃候補になったときも、「あの子なら大丈夫。自分たちの関係を脅かさない」との会話があったとか。あまりに残酷ですが、要は女が何枚も上。本妻だから何? お妃が何? 我々の理解を超える自信と、結婚など超越した相互理解があったと言うほかないのです。
Comment